ホームページ制作における「目的不明病」とその処方箋
〜初心者でも迷わない、ホームページの正しい始め方〜

はじめに:そのホームページ、何のために作りますか?

「そろそろうちもホームページくらい作らないとまずいよね」
「名刺代わりにあればいいから、とりあえず形にしよう」

こんなふうにスタートしたホームページ制作。ですが、完成してみたら何をするサイトなのか自分でもよく分からない…という声を、私は何度も聞いてきました。

これは、ホームページ制作において非常に多いトラブルの一つです。

実はその原因、病気のようなものなんです。私はそれを「目的不明病」と呼んでいます。

この記事では、

  • 目的不明病とは何か?
  • なぜ起こるのか?
  • それを防ぐにはどうすればよいか?
  • すでにそうなってしまったときの治し方

までを、初心者にもわかりやすく、具体的に解説します。

「目的不明病」とは?

■ 簡単に言うと…

「なぜホームページを作るのか」という目的がはっきりしていない状態のことです。

■ よくある症状

  • サイトを作ったものの、成果が出ない(問い合わせゼロ、アクセス数も少ない)
  • 社内でホームページの扱いが曖昧で誰も更新しない
  • コンテンツをどう増やせばいいか分からない
  • 見た目だけは良いが、結局使っていない

■ なぜこうなるのか?

原因は、目的の設計がないまま制作を始めてしまうこと。

つまり「ホームページを作る」という行動自体が目的になってしまい、

  • 誰に見てもらいたいか
  • 何をしてほしいか
  • どんな結果を目指すのか

という大事なポイントを決めずに進んでしまっているのです。

ホームページの目的って何?

ホームページの目的とは、ユーザーにどんな行動をしてもらいたいかです。

たとえば:

種類 目的の例
企業サイト 問い合わせ、資料請求をしてもらう
ECサイト 商品を購入してもらう
ブログ 読者を集めて広告収入を得る
採用ページ 求人応募をしてもらう

このように、「誰に」「何をしてもらいたいか」が目的です。

なぜ目的がないと失敗するのか?

■ 目的がないと設計がブレる

メニュー構成はどうする?

トップページで何を伝える?

ボタンはどこに置く?

これらはすべて「目的」があってこそ答えが出ます。目的がなければ、見た目重視で進んでしまい、結果「カッコいいけど何のためか分からないサイト」ができあがってしまいます。

【初心者向け】目的設計の4ステップ

【ステップ1】誰に見てもらいたいのか?(ターゲット設定)

これが最も重要です。ホームページは“全員に向けて作る”と、誰にも届きません。

具体的に、以下のように想像してください。

  • 年齢、性別
  • 職業、役職
  • 住んでいる地域
  • 抱えている悩み
  • あなたのサービスをどう活用できるか

例:
「30代の中小企業経営者で、ホームページの集客ができていない人」

→ こういう人なら、どんな言葉が刺さるか?どんなページ構成が親切か?が見えてきます。

【ステップ2】何をしてもらいたいのか?(目的=ゴール設定)

ホームページを訪れた人に、最終的に何をしてもらいたいですか?

  • 問い合わせをしてほしい
  • 商品を買ってほしい
  • 資料をダウンロードしてほしい
  • 予約をしてほしい

この「ゴール」が明確になると、ページの構成や導線(ボタンの配置など)が具体的になります。

【ステップ3】目的を「数値化」する(KPIの設定)

■ KPIって何?
KPI(Key Performance Indicator)とは「重要業績評価指標」のこと。つまり、「どれくらい成果が出ているか」を測るための数値です。

■ 初心者にもわかるKPIの例:

目的 KPIの例
問い合わせが欲しい 月10件の問い合わせ
購入してほしい 月20件の購入
アクセスを増やしたい 月3,000PV以上

KPIがあれば、改善ポイントが見えるようになります。

「問い合わせが少ない → フォームが分かりづらいのかも」
「アクセスはあるけど売れない → 商品説明が足りないのかも」

といった具合に、感覚ではなく数字で改善が可能になるのです。

【ステップ4】ユーザーの行動をイメージする(導線設計)

目的を達成するためには、ユーザーの行動を1ステップずつ導く必要があります。

たとえば:

  1. トップページを見る
  2. サービス紹介ページへ移動
  3. 実績を見る
  4. よくある質問を見る
  5. 問い合わせフォームへ

このような「シナリオ」を描くと、ページ間のつながりや誘導ボタンが自然になります。

【ステップ5】差別化ポイントを設計する(“自社らしさ”を作る)

あなたの会社が選ばれる理由は何ですか?

  • 価格より信頼や安心を重視している
  • 地元密着で対応が早い
  • ニッチな業種に特化している

これを明確にして打ち出すことで、ユーザーの記憶に残りやすくなります。

よくあるNGパターンと改善例

■ ありがちな失敗例:

「ホームページを作って1年。アクセスは月50件。問い合わせは0。」

→ なぜこうなったかを聞いてみると…

  • 誰に向けたサイトか不明
  • 問い合わせフォームがわかりにくい
  • 更新されておらず、情報が古い
  • 専門用語だらけで親切でない

■ 改善策:

  • ターゲットを「地元の小規模企業」に絞る
  • 見込み客の悩みを解決する「事例紹介ページ」を設ける
  • 問い合わせボタンを目立つ位置に設置
  • 「よくある質問」で不安を先回りして解消
  • 定期的にブログで更新し、信頼感を高める

結果:問い合わせが3ヶ月で0件 → 6件に改善

すでに「目的不明病」にかかってしまった場合は?

■ 現状把握が最優先

  • アクセス解析は入っているか?
  • サイトの目的が社内で共有されているか?
  • 定期的な更新体制があるか?

■ 改善へのステップ

  • Googleアナリティクスなどでアクセス状況を確認
  • ターゲット像・目的・KPIを言語化
  • 不要ページを削除、目的に合う構成に再編集
  • 専門家にレビューを依頼するのも効果的

まとめ

ホームページ制作の成功は「目的設定」がすべての始まりです。

目的・ターゲット・KPI・導線・差別化ポイント。この5つを明確にすることで、成果につながるホームページが作れます。

もし「目的不明病」に心当たりがあるなら、今日からこのチェックを試してみてください。