制作会社が見積もりで使う“隠し料金”の正体

はじめに

ホームページ制作を外注しようと見積もりを取ったら、「意外と高い」と感じたことはありませんか?
あるいは、最初に提示された金額よりも、最終的に支払う金額が大きく膨れ上がったという話を聞いたことがあるかもしれません。

この記事では、そんな “見積もりに潜む隠し料金” の正体に迫り、中小企業の経営者や個人事業主、フリーランスといった方々が、後悔のない選択をするための知識を深掘りしていきます。

ホームページ制作の見積もりは、一見すると単純なようでいて、実は情報格差が生まれやすい分野。だからこそ、この記事ではあえて制作会社の立場ではなく、“発注者目線”で中立的にお伝えしていきます。

隠し料金の典型例とその実態

■ 初期費用に含まれていない項目

よくあるパターンとして、初期費用に必要最低限の内容しか含まれておらず、制作が進行するにつれて追加費用が発生するケースです。

  • サーバーやドメインの取得費用(年額数千円〜)
  • お問い合わせフォームの設置(数万円)
  • スマホ最適化(レスポンシブ対応)
  • GoogleマップやSNSリンクの埋め込み

「これは標準で含まれてるでしょ?」と思っていても、あとから「オプション扱いです」と言われてしまうことも。

■ 修正回数の制限

制作途中に何度か修正を依頼するのは普通の流れですが、「修正は2回まで」「3回目からは1回ごとに〇〇円」と細かく制限されていることがあります。

一見、筋の通った条件のようですが、初回のやりとりで理想通りに仕上がるケースは稀。実質的には修正費用が加算される前提での価格設定と見た方が良いかもしれません。

■ CMS導入費用

CMS(Content Management System)とは、専門知識がなくてもホームページの内容を更新できる仕組みのこと。代表的なものにWordPressなどがあります。

「更新は自社でやりたい」と希望すると、CMSの導入費用が追加で数万円から十数万円請求されるケースもあります。

本来、CMSは制作費に含まれていてもおかしくない機能ですが、それが別途費用になるかどうかは、事前の見積もりに明記されているかがカギになります。

■ 写真・文章素材の準備

制作会社によっては、「素材はすべてご用意ください」となっている場合があります。

  • プロによる写真撮影(数万円〜)
  • コピーライティング(1ページ数千円〜)

こうしたコストは事前に意識していないと、“あとからかかるお金”として発覚します。

■ 公開後の保守・管理費

見積もりには制作費しか記載されておらず、公開後の更新や管理費用が抜けている場合も要注意です。

  • 月額の保守管理費(数千円〜)
  • SSL証明書の費用(セキュリティ対策として必要)
  • バックアップ、障害対応などの緊急時サポート

「ホームページは完成して終わり」ではなく、公開後の維持に費用がかかるという認識がないと、思わぬ出費に繋がります。

なぜ隠し料金が発生するのか?

■ 価格を安く見せるためのテクニック

競争が激しいホームページ制作の業界では、価格が安く見える方が選ばれやすいという心理があります。

そのため、初期費用を必要最低限に抑えておき、後から「これは別料金です」とするスタイルが一部の業者で常態化しています。

■ 情報の非対称性

発注者はWeb制作の専門家ではありません。対して制作会社は専門用語や業界知識をフルに使ってきます。

この “情報の非対称性” によって、料金の妥当性を判断できず、結果的に追加料金が正当なものか見極めるのが難しくなるのです。

見積もり時に確認すべき10の質問

  • 表示価格に含まれていない費用はありますか?
  • 修正は何回まで対応してもらえますか?
  • CMS(WordPressなど)の導入は含まれますか?
  • 素材(写真・文章)は誰が用意することになりますか?
  • スマホ表示(レスポンシブ対応)は標準対応ですか?
  • 公開後の保守や更新にはどれくらいの費用がかかりますか?
  • ドメインやサーバーの取得・管理も依頼できますか?
  • サポートの範囲(トラブル対応など)は?
  • 契約期間や途中解約に関する条件は?
  • 費用が変動する可能性があるタイミングは?

「安さ」に惑わされず、本質を見る視点

格安制作プランが悪いわけではありません。ただし、その価格の裏に“何が含まれていて、何が含まれていないか”を明確にすることが大切です。

価格表の数字だけで比較せず、将来的に発生するコストまで見据えて判断する視点が、結果としてコストパフォーマンスの高い選択に繋がります。

まとめ:透明性のある見積もりを引き出すために

  • 見積もり時点で「最終的な支払い総額」のイメージを持つこと
  • わからないことは、遠慮せず質問すること
  • 表示価格の“前提条件”や“除外項目”を確認すること

ホームページ制作は、安ければ良いというものではありません。ましてや、「後から請求」によって信頼関係が崩れるような取引は、ビジネスにとって大きな損失になります。

このブログが、見積もりのカラクリを見抜き、適切な判断をする手助けとなれば幸いです。