縦長=LPじゃない?「ランディングページ」のよくある誤解と、本当に効果の出るページ設計とは
- はじめに:「LP作ってください」の違和感
- 1. そもそも「ランディングページ」って何?
- 2. 「縦長のページ=LP」ではない理由
- 3. ランディングページの構成要素とは?
- 4. 縦長ホームページは「なんでも見せる」設計
- 5. よくある「なんちゃってLP」の問題点
- 6. 広告との連動設計の重要性
- 7. スマホ最適化と読みやすさ
- 8. LP運用と改善:作って終わりではない
- 9. 目的で選ぶべき「LP」と「縦長ページ」
- 10. 「LPを作りたい」と言う前に考えてほしいこと
- 11. 成功事例と失敗事例:現場で何が起きているか
- 12. LPの費用感と予算の考え方
- 13. SEOとLPの共存は可能?
- 14. よくある質問(FAQ)
- 15. 最終まとめ:LPは「短期成果」の主力武器
はじめに:「LP作ってください」の違和感
「LPを作ってください」——。ホームページ制作に関わっていると、こうした依頼を受けることがよくあります。
しかし、詳しくヒアリングしていくと、依頼者が求めているのは「ランディングページ(以下LP)」ではなく、ただの“縦長の1ページ構成のホームページ”だった、というケースが非常に多いのです。
もちろん、縦長のページが悪いわけではありません。しかし、LPと縦長ページは目的も構成も役割もまったく異なるものです。
この誤解は、成果を出したい事業者にとって、非常にもったいないこと。今回は、ランディングページにまつわる誤解を解きほぐし、本当に効果の出るページ作りとはどうあるべきかを、分かりやすく解説していきます。
1. そもそも「ランディングページ」って何?
「Landing Page(LP)」とは、直訳すると「着地ページ」。つまり、広告や検索結果、SNSリンクなどから訪問者が最初に“着地”するページのことです。
しかし、Webマーケティング業界では、単なる最初のページではなく、特定の目的(コンバージョン)に特化した1ページ完結型のセールスページを指すことが一般的です。
たとえば:
- 資料請求させる
- 商品購入を促す
- 無料体験登録をしてもらう
- イベント参加を申し込ませる
「行動を1つ」に絞り、それを達成させるためのページが、いわゆるLPです。
2. 「縦長のページ=LP」ではない理由
よくある誤解が、「LPって要するに縦に長いページのことですよね?」というもの。
確かにLPは縦長であることが多いです。しかし、縦長であればLPというわけではないのです。
ポイントは「ページの設計思想」にあります。
LPの目的:たったひとつのゴールに集中
- 「申込み」「購入」など、ひとつのアクションに誘導することに全振りしている
- メニューや他ページへのリンクを排除し、ユーザーの離脱を防ぐ
- 構成が“ストーリー仕立て”になっており、感情を動かして説得する流れになっている
一方、縦長のホームページは:
- 会社紹介、サービス案内、事例、ブログリンクなど、情報を多目的に発信
- ナビゲーションあり、ページ遷移あり
- 離脱率や成約率よりも、情報提供・ブランディングが目的
つまり、見た目の形状ではなく、「何を達成するためのページなのか」が最大の違いなのです。
3. ランディングページの構成要素とは?
では、成果を出すLPにはどんな要素があるのでしょうか?以下に典型的な構成を紹介します。
- ファーストビュー(最初に見える範囲)
- 共感セクション
- 解決策の提示
- 実績・信頼獲得
- 限定性や緊急性
- クロージング
- フッター(最低限の会社情報のみ)
このように、LPは単なる情報掲載ページではなく、一連の心理的ストーリーでユーザーを動かす「セールスの舞台装置」なのです。
4. 縦長ホームページは「なんでも見せる」設計
では、よくある縦長ページはどうでしょうか。
- 会社概要
- サービス案内
- お客様の声
- よくある質問
- 料金表
- お問い合わせ
- SNSリンク
こういった項目を1ページに並べて「1枚で全部見れるから親切でしょ?」という構成が多いですが、これはLPとはまったく設計意図が異なります。
もちろん、悪いわけではありません。情報を一覧で届けるには有効ですが、「問い合わせが欲しい」「購入してほしい」などのコンバージョン目的には弱いという点は理解しておく必要があります。
5. よくある「なんちゃってLP」の問題点
「LPを作っても反応がない」という相談の多くは、“なんちゃってLP”になっていることが原因です。
- 明確なターゲットが定まっていない
- 文章がだらだらと長く、訴求ポイントが曖昧
- CTAボタンが少ない・目立たない
- 他ページへのリンクが多く、回遊して離脱される
表面的な見た目を真似るだけでは、コンバージョンにはつながりません。LPは戦略と構成が命です。
6. 広告との連動設計の重要性
LP単体で完結することはほぼありません。多くは広告やSNS投稿、検索キーワードなどからの流入が前提となっています。
- LPは「前の文脈(広告のコピーや画像)」と連動している必要がある
- 流入ユーザーの期待を裏切らない一貫性ある設計が必要
広告文とLPのギャップが大きいと、ユーザーは即離脱してしまいます。
7. スマホ最適化と読みやすさ
近年では流入の7~8割がスマートフォンというケースも珍しくありません。
- ファーストビューは「一画面に収まる情報の密度」が重要
- CTAボタンは適宜挿入し、スクロール中に何度も出現する設計に
- テキストは短く、改行・余白・視覚要素(画像・アイコン)をうまく活用
8. LP運用と改善:作って終わりではない
LPは作って終わりではなく、改善していく設計が必要です。
- A/BテストでキャッチコピーやCTA文言を比較
- ヒートマップやクリック解析を使って改善ポイントを特定
- 定期的に成果指標(CVR)をチェックし、改善サイクルを回す
一度の公開で成果が出るとは限りません。むしろ「改善ありき」で設計することが前提です。
9. 目的で選ぶべき「LP」と「縦長ページ」
どちらが良い悪いではなく、大切なのは「何を目的にしているか」。
目的 | 適したページ |
---|---|
商品を売りたい | LP(セールス型) |
資料請求を増やしたい | LP(コンバージョン型) |
会社の信頼を高めたい | 通常のホームページ |
総合的な情報提供がしたい | 縦長の構成ページ |
このように、目的と導線を一致させることが最も重要です。
10. 「LPを作りたい」と言う前に考えてほしいこと
「LPを作りたいんです」と思ったとき、ぜひ一度以下のことを自問してみてください。
- なぜLPを作りたいのか?
- 何を目的にするのか?
- ユーザーにどんな行動をしてほしいのか?
- 広告や集客導線はどう設計されているか?
これらが明確であれば、LPは非常に強力な武器になります。
しかし、単に「1ページでなんとなく全部見せよう」では、売上にも効果にもつながりません。
11. 成功事例と失敗事例:現場で何が起きているか
成功事例:ある治療院のLPでCVRが3倍に
ある整体院では、初めてLPを導入した際、単に院の特徴や料金表を羅列した「縦長ページ」でした。反応率はわずか0.8%。
そこで、ペルソナを明確化し、「40代女性の肩こり」に特化したLPに作り替えました。
- 共感:『朝起きると首が痛い…そんな日が増えていませんか?』
- 解決:『肩甲骨リリース×自律神経調整で改善』
- CTA:『今なら初回3,980円』
これだけの変更で、反応率は3.2%に。問い合わせが月4件→15件以上に増加しました。
失敗事例:「とにかく全部入れてくれ」で逆効果に
BtoBのソフトウェア会社が「とにかく自社の強みを全部詰めて」と指示し制作したLPでは、結果が出ませんでした。
- サービス説明が5種類
- CTAが複数(デモ申込・資料請求・問い合わせ)
- 画面内に動画、PDF、リンク、SNSボタンなど情報過多
ユーザーが迷い、最終的にCVRは0.3%。後に、目的を「デモ体験申込」のみに絞り、コンバージョンは1.8%に回復。
12. LPの費用感と予算の考え方
「LPって、いくらぐらいかかるの?」という声も多いです。価格は以下のように大きく分かれます。
項目 | 費用相場 |
---|---|
テンプレート型LP | 3万~10万円 |
カスタムLP | 15万~50万円 |
マーケ設計+改善 | 50万~100万円以上 |
単なる“デザイン作業”ではなく、コピーライティング、ターゲット設計、導線設計、A/Bテスト前提での構築など、「売るための設計」に予算がかかると考えるべきです。
LPにお金をかける価値はあるのか? 答えはYes。例えば5万円の広告費で10件CVが取れるLPと、1件しか取れないLPでは、その差は歴然です。
13. SEOとLPの共存は可能?
「LPはSEOに弱い」と言われることがありますが、目的によります。
- リスティング広告やSNS導線 → LPでOK
- 自然検索からの流入 → 通常のSEO記事 or サイト内導線が必要
つまり、「SEOで集めてLPで落とす」など、分業で設計するのが最適。
また、最近では1ページLPでもh1〜h3タグを適切に使い、FAQを入れたりすることで、一定のSEO効果を発揮できるケースも増えています。
14. よくある質問(FAQ)
- Q. LPは1ページじゃないといけませんか?
- → 原則1ページ完結が理想ですが、補足情報を別ページにする「ハイブリッド型」もありです。
- Q. 動画を入れた方が効果ありますか?
- → 商材によりますが、「感情に訴える」「体験を伝える」目的であれば効果大。ただし自動再生・音声付きは逆効果になることも。
- Q. テンプレートで作っても大丈夫ですか?
- → ターゲットと目的が明確であればOK。ただし、差別化やCVR改善にはカスタマイズが必要になる場合も。
- Q. LPに会社概要って必要?
- → 信頼構築のためには最低限入れた方が安心されます。が、前面に出す必要はありません。
15. 最終まとめ:LPは「短期成果」の主力武器
- LPは「今すぐ成果を出したい」時の特化ツール
- 成功にはターゲット・構成・改善が不可欠
- 単なる縦長ページではなく、“戦略と設計”で初めて本物になる
今後もWeb集客においてLPの重要性は高まっていくでしょう。
もし、あなたが「LPって結局何なのか」と迷っていたなら、この記事が整理の一助になれば幸いです。そして、次に「LPを作るべきかどうか」を判断する基準にもなればと思います。