電話嫌いの世代にも刺さる!LINE・フォーム強化術
近年、業務の問い合わせや相談対応の中で、こんな変化を感じていないだろうか?
「電話での問い合わせが減っている」
「メールの返事が遅い、もしくはない」
「フォームからの送信は、なんだか減っている気がする」
実はそれ、あなたの対応力の問題ではない。
今の時代における“問い合わせスタイル”そのものが、大きく変わってきている。
特に今、注目されているのが、「電話嫌いの世代」──つまり、Z世代を中心とした“声”よりも“文字”を優先する層の存在だ。
彼ら・彼女らは、何かを問い合わせるとき、電話番号を見ても、そのままダイヤルすることはほぼない。
代わりに、LINEやチャット、フォームなど、「非対面・非同期・即レスじゃなくても許される」連絡手段を求めている。
それが現代のニーズであり、これからの問い合わせ導線を構築するうえで、無視できない大きなヒントだ。
今回は、士業としてウェブ上に窓口を設けている人にとって、「電話嫌いの世代にもちゃんと届く、相談の入口」の整え方について、実践的に掘り下げていきたい。
電話をかけるというハードル
「なぜ電話をしてこないんだろう?」と感じたことはないだろうか?
電話という手段が、若い世代にとってどれだけハードルが高いか──これは一度、自分に置き換えてみると理解しやすい。
例えば、何かのトラブルでカスタマーセンターに電話をかけるとき、多くの人が、
- 「待たされるのが嫌」
- 「ちゃんと伝わるか不安」
- 「話しながらメモを取るのが面倒」
という感情を抱いた経験があるだろう。
今の若い世代は、それに加えて、
- 「電話って怖い」
- 「何を話せばいいかわからない」
- 「そもそも電話は苦手」
という、心理的な抵抗感すらある。
いわば、“電話アレルギー”とも言える。
Z世代にとって、音声でのやりとりは、極めてパーソナルで、緊張を伴う行為になってしまっているのだ。
LINEという安心感と手軽さ
そこで選ばれるのが、「LINE」だ。
特に日本国内では、LINEの普及率は非常に高く、若年層に限らず40代・50代でも、日常的に使われているコミュニケーションツールとなっている。
LINEは、
- 電話のように「いきなり」ではない
- 自分のペースで入力できる
- 履歴が残るので後から見返せる
- スタンプや画像も使えて柔らかい印象を持たせられる
という特長を持つ。
つまり、相手との距離を程よく保ちながら、心理的ハードルを下げた連絡が可能になるのだ。
さらに、LINE公式アカウントを利用することで、個人LINEとは切り分けた形で業務対応ができる。
チャットボットとの連携も容易で、営業時間外でも「自動応答」で簡単な対応をすることも可能だ。
フォームの「ちょっとした改善」で反応率が劇的に変わる
とはいえ、LINEに抵抗感を持つ士業の方もまだまだ多い。
「業務上のやり取りにLINEはちょっと……」
そんなとき、次に考えるべきなのが、「フォーム」だ。
ただし──
よくあるお問い合わせフォームが、「使いにくい」と感じたことはないだろうか?
- 名前、電話番号、住所、メール、件名、本文……と、記入欄が10個以上ある
- フォームの説明文がほとんどなく、何を書いていいか分からない
- 送信後、「お問い合わせありがとうございました」としか表示されない
これでは、誰もが途中で「やーめた」となっても不思議ではない。
大切なのは、問い合わせフォームは“書いてもらう”場所ではなく、“相談してもらうきっかけ”という認識に切り替えること。
✅ フォーム改善チェックポイント
- 入力項目を極限まで減らす
→ 最初は「名前」と「相談内容」だけでも十分 - フリーテキストにヒントを添える
→ 「こんなことでお困りの方へ」など、記入例を表示 - 送信後のメッセージを丁寧に
→ 「通常1営業日以内にご返信します」など、安心感を伝える - スマホでも快適に入力できる設計に
→ ボタンは大きめ、文字は見やすく、スクロール量も最小限に - フォームのURLをLINEにも載せられるように
→ LINE連携フォームや、QRコードの活用で導線を増やす
時代とともに“相談の入り口”は変わる
昔は、名刺に書いてある電話番号が最も信頼される「窓口」だった。
でも今は、連絡手段は多様化している。
すぐに話したい人は電話
自分のタイミングでやり取りしたい人はLINE
書きながら考えたい人はフォーム
もっと深く調べたい人はウェブページ
すべての人が“自分にとって楽な方法”を選べるようになってきている。
ここで重要なのは、「どれが一番いいか」ではなく、「複数の入口を用意しておく」という視点だ。
LINEとフォームは「攻めの窓口」
よく、「LINEやフォームなんて、受け身の窓口でしょう?」という意見を聞く。
でも、考え方を変えてみてほしい。
たとえばLINEを使って、
- 相談事例を流す
- お役立ちコラムを送る
- 「今月の予約状況」や「受付期限の案内」などを配信する
といった発信ができるようになると、それはもはや「攻めの窓口」になる。
フォームも同様だ。
たとえば、
- フォームで無料相談を受ける
- 「○○診断」や「△△チェックリスト」付きフォームを設ける
- フォーム送信後にPDFや限定ページを案内する
という仕掛けを加えることで、「ただの連絡手段」ではなく「体験のきっかけ」へと変わる。
おわりに
「電話が減った」と感じる今こそ、LINEやフォームの在り方を見直すチャンスだ。
それは単に“便利だから”という理由ではなく、時代の感覚に寄り添った設計だからこそ、成果につながる。
電話の時代から、LINE・フォームの時代へ。
問い合わせの“入口”をどう設けるかで、士業の未来も変わっていくかもしれない。
まずは、あなた自身が「今だったら、どんな窓口だったら相談しやすいだろう?」と、自分の気持ちに問いかけてみてほしい。
きっと、いい入り口が見えてくるはずだ。