顧問契約が増える「成功事例ページ」の作り方
士業において「顧問契約」は安定した収益源であり、事務所経営の要とも言えます。しかし、ただホームページを作るだけでは、継続的な顧問契約の獲得にはつながりません。
近年、顧問契約の決定要因として注目されているのが「成功事例ページ」です。相談前にお客様が確認したいのは、「この先生に任せて本当に大丈夫か」という不安を払拭する情報。そこにこたえるのが、実績をわかりやすく・信頼感をもって伝える「成功事例ページ」なのです。
この記事では、弁護士・司法書士・行政書士・税理士・社労士などの士業の方々に向けて、実際に顧問契約の増加に貢献している成功事例ページの作り方を徹底的に解説します。
1. なぜ「成功事例ページ」で顧問契約が増えるのか?
まず前提として、多くの士業ホームページには「サービス紹介」や「プロフィール」、「よくある質問」などの定番コンテンツがあります。しかし、顧問契約という中長期的な関係を前提とした依頼は、これらの情報だけでは決め手にならないことが多いのです。
成功事例ページの最大の魅力は、「実際に依頼した人がどのように助かったのか」が具体的に伝わること。いわば「信用の可視化」です。
● 比較検討の中で差が出る
例えば、複数の税理士事務所を比較している企業担当者は、サービス内容が似通っている中で「決め手」を探しています。そのとき、過去の具体的な支援事例が掲載されていれば、「この人はウチの状況に近い会社を支援してきた」と共感を呼び、信頼につながります。
● 士業への不安を解消する
法律や税金、労務管理など、相談する側からすれば「専門家に任せるしかない」領域ばかりです。それだけに、選ぶときは慎重になりがち。そこで成功事例があれば、「この先生はちゃんとやってくれそう」という心理的な安心感を与えることができます。
2. 成功事例ページに必要な5つの要素
① 背景(依頼者の状況)
依頼者の業種や規模、抱えていた問題点などを簡潔に記述します。
例:「従業員30名ほどの製造業の会社様。新卒採用後の雇用契約の整備が遅れており、労務管理に不安を感じていた」
ここでは守秘義務を守りつつ、具体性を出すことが重要です。「○○業のA社」など、仮名でもイメージが湧くようにしましょう。
② 課題と依頼内容
どんな課題を抱えていたか、何を依頼されたかを明記します。
例:「就業規則の整備、雇用契約書の見直し、社労士顧問契約による継続的な労務相談体制の構築」
③ 提案内容と対応
何をどのように提案し、どんなサポートを行ったかを詳述します。
例:「ヒアリングを通じて実情を把握し、雛形ではなく実務に即した就業規則案を提示。契約形態に応じた雇用契約書を3パターン作成」
④ 結果(成果)
対応によって得られた成果を客観的に書きます。
例:「新卒社員の定着率が向上し、労務リスクが大幅に低下。社内の雰囲気も改善された。現在は月1回の定例相談と勤怠管理体制の見直し支援を継続中」
⑤ コメント(可能であれば)
クライアントから許可が取れる範囲でコメントを掲載できれば理想的です。
例:「対応が非常に丁寧で、安心して任せられた」「わかりやすい言葉で説明してくれるので社内にも伝えやすい」
3. 成功事例ページでやってはいけないNGパターン
● 抽象的すぎる表現
「企業の成長を支援しました」など、成果が何かわからないフレーズは信頼感を下げます。抽象的な表現だけではなく、「どのように支援し、どう改善されたのか」のプロセスを明確にしましょう。
● 自画自賛しすぎる
「完璧なサポート」「圧倒的な専門知識」など、自分を過度に持ち上げる表現は逆効果です。読者は「すごい士業」より「信頼できる士業」を探しています。第三者の声や事実ベースで構成しましょう。
● 実績の羅列だけ
「顧問契約◯社、設立支援◯件」といった数だけのアピールは、初見の読者には実感が湧きません。数値は必要ですが、具体的なストーリーの中で生かすことが大切です。
4. 成功事例は「カテゴリ別」に蓄積する
成功事例を1件ずつページにするのも良いですが、「業種別」「課題別」「サービス別」にカテゴライズすることで、閲覧者が「自分に近い事例」を探しやすくなります。
たとえば…
- 業種別:建設業/IT企業/個人事業主など
- 課題別:就業規則/節税/契約書作成/労務トラブルなど
- サービス別:スポット相談/顧問契約/セミナー支援など
この構成を整えることで、検索エンジンからの流入(SEO)にも強くなり、長期的に資産となるコンテンツになります。
5. 成功事例ページを活かす「導線設計」
● 関連ページへのリンク設置
事例の最後に、「顧問契約について詳しくはこちら」「労務支援サービスの詳細はこちら」といったリンクを自然な形で設置しておくと、閲覧者の行動がスムーズになります(CTA=Call To Actionの設計)。
● トップページや各サービスページからの導線
トップページやサービス紹介ページから「成功事例」へのリンクを配置しておくと、信頼感を高める流れがつくれます。
● SEO対策としての事例タイトル
事例のタイトルは、SEO効果を考えて「業種+課題+成果」を含めると効果的です。
例:「建設業の社労士顧問契約で、退職トラブルがゼロに」
6. 成功事例は「営業資料」としても機能する
成功事例ページは、Web上の閲覧者に向けたものですが、同時に「営業資料」としての機能も持ちます。たとえば対面相談やメール対応時に、「同じような事例がありますのでこちらをご覧ください」と案内すれば、事前の信頼感を得るツールになります。
実際にこの活用をしている士業事務所では、「面談前に読んでくれているので説明がスムーズになった」といった声もあります。
7. 定期更新で「成長している事務所」を演出
成功事例ページは、1度作って終わりではなく、継続して更新していくことで「今も選ばれている」「進化し続けている」事務所であることを演出できます。月1〜2件でも構わないので、定期的な更新が理想的です。
これはSEOにも良い影響を与え、アクセス増加にもつながります。
まとめ:成功事例ページは「信頼を蓄積する資産」
士業において顧問契約を獲得するためには、何よりも「信頼感」が重要です。その信頼を、言葉ではなく“実績”で伝える方法が、成功事例ページです。
地道に見えるこのページの充実が、長期的な事務所運営において大きな差を生みます。情報をオープンにすることで読者に安心感を与え、自然な信頼の蓄積が顧問契約へとつながっていくのです。
これから成功事例ページの構築・見直しを考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。目の前の集客だけでなく、5年後、10年後の資産として役立つページ作りを。