士業こそ「FAQ動画」を活用すべき5つの理由

はじめに

「よくある質問(FAQ)」というと、テキストで箇条書きされているページを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし近年では、それを「動画」で表現するケースが増えてきています。そして、特に弁護士・司法書士・行政書士・税理士・会計士・社労士といった士業にこそ、この「FAQ動画」が非常に相性が良いという事実があります。

本記事では、なぜ士業がFAQ動画を活用すべきなのか、その理由を深掘りしていきます。テクノロジーの進化とユーザー行動の変化、そして情報信頼性の確保という観点から、FAQ動画が持つ可能性にぜひ注目してみてください。

1. 専門サービスの“見えにくさ”を「見える化」できる

士業のサービスは、非常に専門的かつ抽象的です。たとえば、

「相続の手続きって何をすればいいの?」
「会社設立は誰に相談すればいい?」
「労務トラブルの初期対応って?」

といった疑問に対して、答えはあるものの、法律用語や制度が絡むため、テキストで説明してもなかなか伝わりません。

ここで動画の出番です。FAQ動画は「相手の顔」「話し方」「トーン」「図解」を通じて、難しいことを噛み砕いて“見える”ようにすることができます。特に、相続や離婚、労使問題など感情が伴うテーマの場合、動画でやさしく語りかけるスタイルが強い共感と理解を生みます。

2. 「声と表情」が“信頼感”に変わる

対面での相談において、士業が最も大切にしているのは「信頼関係」ではないでしょうか。ところが、ホームページやパンフレットだけでは、どうしても無機質な印象が残ってしまいます。

FAQ動画では、相談者が知りたい疑問に対して、カメラ越しに専門家自身が丁寧に説明することで、まるでその場で相談しているかのような信頼感が生まれます。

とくに表情・声のトーン・間の取り方といった“非言語情報”が与える安心感は非常に大きく、「この先生なら話せそう」「怖そうな人じゃなかった」と思ってもらえるきっかけになります。

3. SEOにも強い「二重構造」の情報発信が可能

FAQ動画は、YouTubeなどに公開しておけばGoogle検索にもヒットしやすくなります。さらに、動画を掲載したページに「その動画の内容を文字起こしして掲載」しておけば、SEO(検索エンジン最適化)的にも大きなアドバンテージを持つことになります。

この「動画+文字」という二重構造は、以下のようなメリットを持ちます。

  • 動画だけで理解したい人向け:感覚的に把握しやすい
  • 文字で読みたい人向け:後から見返しやすい、検索もしやすい
  • 検索エンジン向け:Googleが内容を把握しやすく上位表示しやすい

たとえば、「定款の変更ってどうやるの?」という検索ワードに対して、動画とその説明文を組み合わせたページであれば、他の文字だけのFAQページよりも多角的に評価されやすくなります。

4. 「業務範囲」を自然に伝えられる

士業はそれぞれ業務範囲が定められていますが、一般の方には「誰に何を相談すればいいか」がわかりにくいのが実情です。

「成年後見制度」は行政書士?司法書士?弁護士?
「起業の税務処理」は税理士?会計士?コンサル?

これらの質問に対し、FAQ動画で実例とともに説明することで、「自分はこういう業務を扱っている」ということを自然に伝えることができます。

たとえば、以下のようなタイトルのFAQ動画は実用的です。

  • 「契約書のチェックは弁護士がやるべき?行政書士でもいいの?」
  • 「補助金申請を代行してくれる士業と、そうでない士業の違い」
  • 「税理士に頼んだ方が得する起業のタイミング」

こうした動画は、特定のテーマに限定されていても、視聴者は「この士業はこういうこともできるんだ」と知る機会になり、将来的な相談や依頼へのきっかけとなります。

5. 同じ質問に何度も答えなくて済む“時間資産”化

業務の中で、繰り返し聞かれる質問はありませんか?

  • 「初回相談は無料ですか?」
  • 「相談はオンラインでも可能ですか?」
  • 「報酬額の計算方法は?」

これらを毎回メールや電話で説明するのは、時間の浪費にもなりますし、回答のムラも生じがちです。FAQ動画を用意しておくことで、同じ質問には「こちらの動画をご覧ください」と案内すれば済みます。

つまりFAQ動画は「過去の自分が未来の自分を助ける」資産となり、時間の削減、説明品質の均一化、顧客体験の向上という複数のメリットをもたらします。

FAQ動画を始めるためのハードルは、思ったより低い

「動画なんて無理」「そんな機材や編集技術がない」という方もいるかもしれません。しかし、FAQ動画に関して言えば、求められるのは「派手さ」ではなく「誠実さ」と「わかりやすさ」です。

以下のような形でも十分成立します。

  • スマートフォン+三脚で撮影
  • パワーポイント資料を画面共有しながらZoom録画
  • 台本はあえて棒読みせず、自然な話し方を心がける
  • ノイズ除去とカット編集だけで十分

むしろ、過度な演出よりも「人柄がにじむ」「やや拙いが誠実」という印象のほうが、相談者には届きやすい場合があります。

活用例:テーマ別に短く分割する

FAQ動画は、1本につき3〜5分程度に抑えるのが理想です。1本が長すぎると最後まで見てもらえませんし、YouTubeやSNSでのシェアもしづらくなります。

例として、以下のような分割が可能です。

行政書士の場合:

  • 「建設業許可ってどう取るの?」
  • 「契約書のリーガルチェックを頼んでも大丈夫?」

司法書士の場合:

  • 「不動産の名義変更って自分でもできる?」
  • 「会社設立は税理士より司法書士?」

税理士・会計士の場合:

  • 「インボイス制度って結局何?」
  • 「節税対策はいつから始めるべき?」

社労士の場合:

  • 「36協定って何のためにあるの?」
  • 「育休復帰トラブル、どう対応する?」

このように、具体的なテーマに沿った短いFAQ動画を複数用意することで、サイト滞在時間や動画再生数の向上も期待できます。

FAQ動画は“自己紹介”ではない

最後に誤解しがちなポイントを一つ。FAQ動画は決して「自分語り動画」ではありません。プロフィール紹介や経歴の解説は、FAQ動画の本質ではありません。

FAQ動画とは、「視聴者の疑問にピンポイントで答える」ことに価値があります。あくまで“情報提供”に徹し、「この人に相談してみようかな」と思ってもらうための副次的な効果として自己認知されるのが理想です。

まとめ:FAQ動画は、士業の未来の武器になる

士業の業務は、「知識」「信頼」「理解」の3点があって初めて選ばれるものです。FAQ動画は、この3つを一度に補うことができる優れたツールであり、今後の業界標準になる可能性さえあります。

動画に苦手意識がある士業ほど、実はその効果を実感しやすいものです。今のうちに一歩先を行く準備として、FAQ動画という手段に目を向けてみてはいかがでしょうか。