“読ませたい順”と“目に入る順”は一致しない:その対処法

ホームページやウェブサイトを見たとき、私たちはつい「読んでほしい順番」に情報を並べがちです。しかし実際には、訪問者がページ上で最初に「目に入る順番」とは大きく異なることが多いのです。このズレを理解し、適切に対処しないと、いくら良い内容を書いても読者に伝わらず、サイトの目的が果たせないという事態に陥ります。

今回は、「読ませたい順」と「目に入る順」が一致しない問題と、その対処法について掘り下げていきます。ホームページ制作の依頼を検討している中小企業の経営者や個人事業主、フリーランスの方にとっても非常に役立つ内容です。専門的な用語は分かりやすく解説しながら進めていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 「読ませたい順」と「目に入る順」のズレとは?

まず、ホームページ上で「読ませたい順」とは、情報の伝えたい順番、つまり制作者が訪問者に伝えたい重要な内容の順番を指します。

一方、「目に入る順」とは、訪問者が実際に画面上で視線を動かして情報を見ていく順番のことです。人間の視線はただ単純に上から下、左から右に流れていくわけではなく、複雑な動きをします。

視線の動きの特徴

人間の視線が画面を見るとき、代表的な動きには以下のようなものがあります。

F字型パターン

ウェブユーザーの視線は、まずページの上部横一列を左から右へ、次に左側を縦に下がりながら見る、さらに少しだけ中ほどのテキストを横切るように見る傾向があります。この動きをF字に例えられています。

Z字型パターン

特にトップページなどで目立つ見出しや大きな画像がある場合、視線がページの左上から右上、そして左下から右下へとZ字を描くように動く場合もあります。

これらの視線の流れは、サイトの構造やデザイン、訪問者の目的、端末(PC・スマホ)によっても異なります。ですが共通して言えるのは、訪問者は「制作者の意図した順番」で必ずしも読んでいないということです。

2. なぜ「読ませたい順」と「目に入る順」がズレるのか?

(1)デザインと視線の関係

ホームページのデザインには、レイアウト(配置)・色使い・フォントサイズ・余白の使い方など様々な要素があります。これらが「視線の流れ」を作り出し、訪問者がどこを先に見るかを決めます。

たとえば、目立つ色や大きな見出し、強調された画像は自然に目に入りやすいですが、逆に伝えたい重要なテキストが細かい文字や奥まった場所にあると、気づかれにくくなります。

(2)ユーザーの目的や心理

ユーザーは明確な目的を持ってサイトに訪問します。例えば、

  • 商品の価格が知りたい
  • 問い合わせ先を確認したい
  • サービスの特徴をざっと把握したい

このように「何を知りたいか」が決まっている場合、その目的に合った情報を真っ先に探し始めます。つまり、制作者が「読んでほしい順」とは違う場所を見てしまうことも多いのです。

(3)情報の過多と「情報のスキャン」

現代のウェブユーザーは、膨大な情報の中から自分に必要なものだけを「スキャン(ざっと見)」して探します。ゆっくり全文を読もうとはしません。

このため、「目に入る順」はざっと見やすい見出しや箇条書き、写真、アイコンなどに誘導されることが多いです。長文の文章や隠れた場所にある重要情報は後回しにされがちです。

3. 「読ませたい順」と「目に入る順」を合わせる方法

では、「読ませたい順」と「目に入る順」のズレを少しでも小さくするにはどうすればよいのでしょうか。具体的な対処法を紹介します。

3-1. 視線誘導のデザインを意識する

見出しやキーワードを強調する

訪問者は見出しやタイトルを最初に目にします。ここに読み進めてほしい内容の要点やキーワードを盛り込み、視線を自然に誘導しましょう。

例えば、

  • 見出しは大きめのフォントサイズで
  • 色や太字で目立たせる
  • 重要な単語は強調して注目させる

これだけで、目に入りやすくなり、読ませたい順に近づけられます。

レイアウトで視線の流れをつくる

画面の「Z」や「F」字の視線パターンを意識した配置をしましょう。一般的には、左上から右下に向かう視線の流れが自然です。

具体例:

  • 重要な要素を左上に置く
  • 次に読んでほしい要素は右上や左下に配置
  • それ以外の補足情報は右下など目立たない位置に置く

余白を活用して視線を誘導する

余白(スペース)が適切にあると、情報の区切りが明確になり、視線が迷いにくくなります。逆に詰め込みすぎると目が疲れ、どこを見れば良いか分からなくなります。

3-2. 文章構造で読ませたい順を組み立てる

重要な情報を先に置く「逆ピラミッド構造」

ニュース記事やWEBライティングでよく使われる「逆ピラミッド構造」は、重要な内容を冒頭に置き、詳細は後から補足していく方法です。

例:

  • 最初に結論や最重要メッセージを書く
  • その後に理由や根拠、詳細を順に説明する

これにより、訪問者が途中で離脱しても重要な情報は伝わりやすくなります。

箇条書きや短い段落を活用

長い文章は読みにくいため、読み飛ばされやすいです。箇条書きでポイントを整理し、段落を短く区切ることで視認性が上がり、読ませたい順番に自然に目がいきやすくなります。

3-3. 画像・アイコンなどの視覚要素で補助する

文章だけでなく、視覚要素を活用しましょう。画像やアイコン、色付きのボックスなどは視線を引き付け、読ませたい内容を強調できます。

ただし、あまり多用しすぎると逆に目が散るのでバランスが大切です。

4. まとめ:訪問者の視線に合わせたサイト設計を

ホームページ制作で「読ませたい順」と「目に入る順」がズレるのは自然なことです。重要なのは、そのズレを理解した上で、訪問者の視線の流れを想定しながら情報を配置し、デザインや文章構造でうまく誘導することです。

これを意識することで、サイト訪問者に必要な情報を確実に届け、問い合わせや購入などの目的達成に繋げることができます。

もし制作依頼を検討される場合は、この視点を持つ制作会社か担当者に相談し、しっかり話し合うことをおすすめします。