どうせテンプレでしょ?」と思わせない“個性の出し方”

ホームページ制作における「個性」とは何か。
中小企業経営者や個人事業主、フリーランスの方々がよく抱く疑問の一つに、「うちのホームページも結局テンプレートでしょ?」というものがあります。
実際にテンプレートを使うことは悪くありません。しかし、テンプレートを使いながらも「自社の個性」をしっかりと出すことは十分可能です。
本記事では、なぜ「テンプレートっぽい」と思われてしまうのかの根本原因から始め、どうすれば個性を際立たせられるのかまで、具体的かつ実践的に解説していきます。

1. 「テンプレートっぽい」と思われる理由を理解する

ホームページ制作でテンプレートが普及している理由は、「早く」「安く」「一定のクオリティで」サイトを作れるためです。
しかし、こうしたテンプレートはデザインや構造があらかじめ決まっており、多くのサイトで使われるため、似たような見た目になりやすいのが弱点です。

テンプレートが「個性」を奪う原因は主に4つあります。

1-1. 決まったデザイン・レイアウト

テンプレートは共通のレイアウトやカラーを用いるため、ページの配置や配色、ナビゲーションの形などが似通います。
例え文章や写真を変えても「パッと見で見慣れた画面」に見えてしまい、差別化が難しくなります。

1-2. 定型的な文言や表現

テンプレートには紹介文やキャッチコピーの雛形も含まれていることが多く、そのまま使うと画一的な印象に。
お客様の個別の特徴や想いが伝わりにくくなります。

1-3. 既製の写真や素材の多用

フリー素材やテンプレート付属の画像を多用すると「どこかで見たことがある」印象になりやすいです。

1-4. 更新・運用の一律感

テンプレートを使う場合、更新作業も画一的になりやすく、情報が陳腐化して「生きているサイト」に見えにくくなります。

2. 個性を出すための「土台」づくり

ホームページの個性は「デザイン」や「機能」だけではありません。

2-1. 自社の強みや価値観の明確化

まずは自分(自社)が何者で、何を大切にしているかを言葉にすることが大切です。
経営理念、商品やサービスの特徴、顧客に届けたい想いなどを整理しましょう。

例:

  • 「迅速な対応力」
  • 「地域密着での信頼」
  • 「職人の技術力」
  • 「環境に配慮した製品づくり」

このようなキーワードを抽出し、ホームページ全体の軸にします。

2-2. ターゲットの具体化

誰に向けて発信するのかを明確にすることも重要です。
ターゲットが絞られていれば、言葉遣いやデザインの方向性もぶれません。
「40代の個人事業主」「子育て世代の主婦」「地元の中小企業経営者」など具体的に想定します。

3. デザインで個性を出す具体策

3-1. カラーとフォントの選び方

カラーは「感情やイメージ」を強く左右します。
たとえば、青は信頼感、緑は安心感、赤は情熱や活力を表現します。
企業カラーが決まっていないなら、自社の価値観に合う色を1~2色メインに決め、補助色として2~3色程度を選びます。

フォントは文章の印象を決める重要な要素です。
ゴシック体はモダンで読みやすく、明朝体は伝統や格式を感じさせます。
近年はウェブフォント(ウェブ上で表示されるフォント)も多様なので、無料のGoogle Fontsなどから個性的なものを選ぶこともできます。

【補足】ウェブフォント
ウェブフォントとは、ホームページを閲覧する端末に関係なく表示される特別なフォントです。
これにより、見た目を統一しやすく、個性を出しやすくなります。

3-2. レイアウトや構造の工夫

テンプレートの枠にとらわれず、要素の配置を変えたり、余白(ホワイトスペース)を多めに取るだけで見た目の印象は大きく変わります。
また、「ファーストビュー」(最初に訪問者が目にする画面部分)で強い印象を残す工夫も重要です。

3-3. オリジナル素材の活用

自社で撮影した写真や、オリジナルイラストを用いると、他社と差がつきます。
写真はできるだけプロに依頼するか、丁寧に撮影したものを使いましょう。

イラストは個人や小規模企業の場合、無料や有料の素材を使いつつ、一部だけでもオリジナルを用いるのが効果的です。

3-4. 動画・アニメーションの活用

動画は動きがある分、強い印象を与えやすいです。
ただし、サイトの表示速度が遅くなる欠点もあるので、容量を抑えたり自動再生は控えるなどの配慮が必要です。

4. コンテンツで個性を作る

4-1. 言葉遣い・トーンの統一

専門用語を使いすぎず、訪問者に寄り添った優しい言葉を心がけます。
ただし、あまりにフランクすぎると信用感を損なうため、ターゲットに合ったトーンを見つけることが重要です。

4-2. ストーリーテリングで共感を生む

会社や商品の成り立ち、裏話、創業者の思いなどを伝えると親近感が増します。
「なぜこの事業を始めたのか」「どんな困難を乗り越えてきたのか」を素直に書くことがポイントです。

4-3. お客様の声や実績を具体的に掲載

単なるキャッチコピーよりも、実際のお客様のコメントや数字で示す実績のほうが説得力があります。
写真や動画があるとさらに効果的です。

5. 更新・運用の工夫で「生きた個性」を育てる

ホームページは作っただけでは完成ではありません。
定期的な情報更新、ブログやニュースの掲載、SNS連携などで訪問者と継続的にコミュニケーションを取りましょう。

「生きているサイト」は訪問者に安心感と信頼感を与えます。

まとめ

テンプレートの枠にとらわれず、自社の「強み」「価値観」「お客様像」をしっかり言語化し、それに基づいたデザインやコンテンツ作りを意識すれば、個性は必ず出せます。
オリジナル素材や表現の工夫、そして更新の積み重ねで、「どうせテンプレでしょ?」と言われない魅力的なホームページを作りましょう。