同業他社のサイトが、例え検索順位1位でも、集客に成功しているとは限らない

検索順位が高い──つまりGoogle検索で上位に表示されること──は、多くの事業者にとって憧れの状態です。

とりわけ中小企業や個人事業主にとっては、「検索順位1位=集客成功」というイメージが定着しているかもしれません。

しかし、本当にそうでしょうか?

本記事では、「検索順位1位」であることが必ずしも「集客に成功している」ことを意味しない理由と、その背景にある“見えない課題”について掘り下げていきます。あくまでも第三者視点での考察ですので、ご自身の事業やサイト運営に活かせる示唆があれば参考にしていただければと思います。

1. 検索順位と集客数はイコールではない

1-1 検索順位は“到達点”ではなく“通過点”

検索順位が上がればクリック数(CTR: Click Through Rate)も上がる可能性は高くなりますが、それはあくまでも”サイトに訪れる”までの話。実際に商品やサービスの購入、問い合わせ、資料請求などの行動(これをコンバージョンと呼びます)に繋がるかどうかは、まったく別問題です。

1-2 ターゲットが違うと効果も違う

検索結果で1位になっているページが、実は“自分の事業にとって意味のないキーワード”で表示されているケースも多くあります。たとえば「東京 ホームページ 安い」というキーワードで1位になっているとしても、そのページを訪れたユーザーが価格重視層であり、サービスの品質を重視する層とミスマッチであるなら、集客には結びつきません。

2. 上位表示されても離脱率が高い場合がある

サイトに訪れたユーザーが、すぐにページを閉じてしまう(これを“直帰”といいます)ことも珍しくありません。これは、「検索意図(ユーザーが知りたいこと)」と「ページ内容」が一致していない場合によく起こります。

また、ページのデザインが古く見えたり、スマホ対応がされていなかったりすると、ユーザーはわずか数秒でページから離れてしまいます。いくら検索順位が1位でも、ユーザーの“体験”が悪ければ意味がないのです。

3. SEOと集客のギャップを埋める要素

3-1 コンテンツの質と一貫性

検索順位に影響する要因は多々ありますが、Googleが特に重要視しているのは「コンテンツの質」です。専門性、権威性、信頼性──いわゆるE-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)が求められます。

しかし、仮に上位表示されても、実際の中身が読者にとって役に立たないものであれば、ユーザーの信頼は得られません。そして何より「この会社に任せてみたい」と思わせる要素がなければ、行動にはつながらないのです。

3-2 CV設計(コンバージョン設計)の有無

コンバージョン(問い合わせや申込みなどの成果)を得るためには、ユーザーを適切に誘導する導線設計が不可欠です。たとえば、ページ内で何をクリックすればよいのかが分かりづらい、問い合わせフォームが分かりにくい、といった構造では、見込み客を逃すことになります。

これを「コンバージョン設計」と言い、優れたサイトはこの仕組みが非常に洗練されています。

4. 検索順位の“裏”にある3つの見落としがちなポイント

4-1 アクセス解析をしていない

意外と多くの事業者が、自社のサイトのアクセス解析をしていません。GoogleアナリティクスやSearch Consoleを使えば、どのページが何回見られているのか、どのキーワードで流入しているのか、直帰率はどのくらいか、といった情報が得られます。

これらのデータを元に改善を重ねなければ、検索順位1位でも“自己満足”で終わってしまうことも。

4-2 リピーターが育っていない

検索から訪れたユーザーが一度限りの訪問で終わってしまう──これは非常にもったいないことです。ユーザーが何度もサイトに戻ってくる状態(リピーター)をつくることで、信頼関係が築かれ、最終的な問い合わせや契約につながる可能性が高まります。

検索順位が高くても、こうした仕組みがないサイトでは“育成”が行われていません。

4-3 SNSや他媒体との連携が弱い

集客は検索エンジンだけに頼る時代ではなくなっています。SNSやYouTube、メールマガジン、外部メディアとの連携によって、多角的な集客の流れを構築している企業も増えています。検索順位が1位でも、他の導線が皆無であれば、集客の間口は狭いままです。

5. “見た目の順位”より“本質的な設計”を

結局のところ、検索順位という“見える指標”にばかり注目しても、サイト全体としての集客力があるとは限りません。大切なのは、ユーザーが何を求めてサイトを訪れ、どのような体験をし、どこで納得し、どう行動するのか──という一連の流れを設計できているかどうかです。

この設計は、「ホームページ制作=デザインとページ数の提供」では済まされない、いわば“戦略の話”です。

まとめ:1位でもゴールではない

検索順位1位になったからといって、それだけで集客がうまくいくわけではないという事実は、思っている以上に多くの事業者が気づいていません。

  • 誰に向けて
  • 何を伝えて
  • どう動いてもらいたいのか

この3点が明確に設計されているサイトこそが、検索順位にかかわらず「集客力のあるホームページ」なのです。

“順位”に惑わされず、”設計”に目を向けること──それが本当の意味での成果につながる第一歩ではないでしょうか。