作って終わりのホームページが残す後悔
はじめに:ホームページは“作ること”がゴールではない
インターネット全盛の今、多くの中小企業や個人事業主が「とりあえずホームページを持つべきだ」と考え、制作に踏み切ります。ところが、実際に運用している現場の声を聞くと「作ったはいいけど、全然効果がない」「更新できずに放置状態」といった声が非常に多いのです。
ホームページは“作って終わり”ではなく、むしろ“作ってからが本当のスタート”です。この記事では、よくある「作って終わり」の状態がもたらす後悔と、なぜそうなってしまうのか、そしてどうすれば“活きたホームページ”に育てられるのかを掘り下げていきます。
作って終わり…何が問題なのか?
1. ホームページの放置は信頼の損失に直結
更新されていないホームページは、まるで営業していない店舗のようなものです。アクセスしたユーザーは「この会社、ちゃんと活動してるのかな?」と不安になります。特に掲載されている情報が古いままだと、
- 掲載商品がすでに取り扱っていないものだったり
- スタッフ紹介に辞めた社員が載っていたり
- 最新のお知らせが2年前の日付だったり
といった状態になっていることも多く、結果として信頼性を大きく損ねます。
2. 更新されないことで検索エンジンの評価もダウン
Googleなどの検索エンジンは、定期的に更新されているサイトを「活動している=信頼できる」と評価します。逆に、長期間更新されていないサイトは徐々に検索順位が下がっていく傾向にあります。SEO(検索エンジン最適化)において、更新頻度は非常に重要な要素の一つです。
3. お問い合わせや売上に直結しないホームページ
「せっかく作ったのに、お問い合わせが全く来ない…」
これは非常によく聞く声です。原因は、以下のようなものが多いです:
- ターゲットに合わせた導線設計がされていない
- 強みやサービス内容が伝わりにくい
- モバイル表示に対応していない(スマートフォンで見にくい)
ホームページは単なる“名刺代わり”ではなく、集客や販売にも大きな役割を果たすツール。設計段階から“何のために作るのか”が明確になっていないと、結果として“ただあるだけ”の存在になってしまいます。
よくある「作って終わり」のパターンとその後悔
ケース1:知人や格安業者に丸投げしてしまった
よくあるのが、「知り合いに頼んだから安く済んだ」と言うケース。しかし、この場合、制作後の更新や修正に対応してもらえず、数年後には時代遅れのサイトに。
例:スマホ対応されていない旧式デザインで、アクセスはあるが離脱率が非常に高い。
ケース2:CMSの使い方が分からず更新できない
CMS(Content Management System)とは、WordPressなどのように、管理画面から簡単に更新できる仕組みのこと。ところが、制作後に更新方法を十分にレクチャーされていなかったり、そもそも操作が難しく感じて使えない場合、サイトは放置されてしまいます。
ケース3:目的が不明確だった
「とりあえず作っておこう」という発想でスタートすると、何を伝えたいのか、どんな人に見てもらいたいのかが不明確になります。その結果、誰の心にも刺さらない中途半端なホームページになりがちです。
ホームページは“育てる”もの
成功例:ブログ型の情報発信で信頼を得た工務店
ある地域密着型の工務店は、施工事例や現場の様子をこまめにブログで発信していました。それを見たユーザーから「こんな感じで施工してくれるんだと分かって安心できた」との声が寄せられ、ホームページ経由の問い合わせが増加。
更新内容が営業トークではなく、現場のリアルだったことが、信頼を得るポイントとなりました。
成功例:FAQや事例紹介で顧客対応がスムーズに
ある士業事務所では、よくある相談内容をFAQ(よくある質問)ページとしてまとめ、実際の事例を匿名で紹介。それにより、初めて訪れるユーザーが「自分の悩みに近い」と共感し、問い合わせに繋がる確率が高まりました。
なぜ“作って終わり”になってしまうのか?
- 予算重視で“最低限”しか発注しない
「できるだけ安く」と考えるあまり、更新の仕組みやサポート体制を削ってしまうケースが多い。 - 「持っていれば安心」という思い込み
実際は持っているだけではほとんど効果はありません。誰も見に来なければ存在しないのと同じです。 - 継続的な改善に対する意識が薄い
店舗であれば清掃やディスプレイの変更など、日々の手入れがあります。ホームページも同じで、放っておけば古くなり、魅力を失います。
作って終わりにしないためのヒント
1. 最初から「運用」まで考える
制作を検討する際には、更新や改善の仕組み、誰が担当するのか、どういうペースで更新するかを決めておくと、“放置”になりにくくなります。
2. 内製化と外注のバランスを考える
全てを自社でやるのが理想ですが、現実的には時間もスキルも足りない場合がほとんど。操作が簡単な部分だけ内製化し、複雑な作業は外注するなどのバランスが重要です。
3. 小さな更新でも意味がある
「更新といっても何を書けばいいのか分からない」という声も多いですが、例えば:
- 社員の紹介
- 最近の出来事
- よくある質問への回答
- お客様の声
といった内容でも十分価値があります。むしろ、小さくてもリアルな情報の方がユーザーの信頼に繋がることが多いのです。
最後に:ホームページは“対話”の場
ホームページは、企業や個人とユーザーとの最初の接点であり、“対話”の場でもあります。
一方通行の情報発信ではなく、ユーザーの目線に立った情報提供と、信頼を築くコンテンツが必要です。だからこそ、“作ったら終わり”ではなく、“作ってからどう関わるか”が何より重要になります。
日々少しずつ手を加えながら、ユーザーとの距離を縮めていく。その積み重ねこそが、後悔のないホームページ運用につながっていくのです。