会社案内ページがダサい原因は“中の人感”

企業のホームページを見ていると、「惜しいなぁ……」と感じる会社案内ページに頻繁に出会います。

デザインが洗練されていない、情報の整理が不十分、写真がチープ……これらも確かに気になるポイントではありますが、もっと根本的な”ダサさ”の原因が潜んでいることに気づいているでしょうか。

その原因のひとつが、今回のテーマである「中の人感」です。

「中の人感」とは?

「中の人感」とは、簡単に言えば、会社の内部の人間が自分たちの言いたいことだけを並べて作ったようなページのことです。業界用語を連発していたり、社内の常識が前提になっていたり、どこか“自己紹介”や“社内プレゼン資料”の延長線上にあるような印象を与えてしまう構成です。

例えるならば、「自分たちが何者で、どんなに素晴らしいかを一生懸命語っているが、それが全然響いていない」というような状態。中小企業の会社案内ページでよく見かけるこの現象、実はホームページの信頼性や印象を大きく損なっているのです。

なぜ「中の人感」がダサく見えるのか

1. 一方通行の情報発信

中の人感が強い会社案内ページは、基本的に「伝える」ことばかり考えており、「どう伝わるか」という視点が欠けています。ページの文章が自社中心の視点で書かれており、読み手が知りたい情報や関心事に沿っていないのです。

2. 読者像が曖昧

「誰に向けて書いているのか」が明確でないページは、内容もぼやけがちです。社員向けなのか、取引先なのか、採用希望者なのか。特に中小企業では「全部を一緒に詰め込む」傾向が強く、結局誰にも刺さらない内容になってしまいます。

3. デザインと文章の乖離

「見た目はそれっぽいのに、中身の文章が社内の業務メモのよう」というケースも多く見られます。たとえば、トップに大きなビジュアルバナーがありながら、その下の文章が社長の手紙風の挨拶文で終わっている……そんな構成です。

4. 固有名詞だらけで分かりにくい

「弊社の強みはMSW-304型を活用したKPIの効率化です」など、業界内でしか通じない情報を堂々と載せてしまっていることもあります。これでは、初めてその会社を知った人にはまったく伝わりません。

本来あるべき会社案内ページとは?

会社案内ページとは、文字通り「会社のことを案内する」場所であり、最初に接点を持つ可能性のある読者に対して“はじめまして”の役割を果たすものです。

読み手の多くは、御社のことをまったく知らない状態です。そんな相手に対して、いきなり「我が社の理念は…」と語っても、まずは“なぜ読むべきか”“何がここに書いてあるのか”という前提を明示しなければ、読んでもらえません。

ユーザー視点の導入

良い会社案内ページは、訪問者が「知りたい」と思うことを先回りして掲載しています。

  • どんな事業をしているの?
  • どんな人たちが働いているの?
  • 取引実績や信頼できる根拠は?
  • この会社に依頼することで、自分にどんなメリットがあるの?

これらを過不足なく、かつ「自分ごと」として感じられる言葉で丁寧に伝えることが重要です。

「中の人感」を消すための具体的アプローチ

1. 第三者視点の導入

原稿の執筆は可能であれば第三者に依頼するのがベストです。ライターなど、客観的な目線を持つ人が書くことで、「わかりにくい」「伝わっていない」といった視点を自然に取り入れることができます。

2. 取材を前提に構成する

たとえ社内で原稿を書く場合でも、社員にヒアリングしたり、顧客の声を取り入れたりして“社内の空気”だけで文章を作らない工夫をしましょう。まるで社外から取材された記事のような構成にすることで、自然と「中の人感」が薄れていきます。

3. ストーリー構成を意識する

人はストーリーに感情移入します。設立のきっかけ、困難だった時期、信頼を得るまでのプロセスなど、物語性を含めることで読む人の共感を誘いやすくなります。

4. 写真の選定にこだわる

「社員が自前で撮ったスマホ写真」ではなく、プロが撮影した自然な写真を使用するだけでも印象は大きく変わります。文章と写真が噛み合っていない場合、どれだけ文章に手を入れても違和感が残ります。

よくあるNGパターン

  • 「弊社は昭和45年創業で……」から始まる文章
  • 社長の顔写真と長文の挨拶文だけの構成
  • 「お客様第一主義」など抽象的で他社と差別化できない理念
  • 事業内容が「○○の提供」としか書かれていない
  • お問い合わせボタンだけが妙に大きい

こういった構成は、閲覧者に「どこかで見たことある」と思わせ、印象に残りません。

最後に

会社案内ページのデザインがダサいと感じるとき、その根本原因は「技術力の不足」や「テンプレートの限界」だけではないことが多いです。最も多いのは、作り手が“自分たちの視点”に偏ってしまっていること。つまり「中の人感」がページ全体に滲み出てしまっているのです。

企業にとって、会社案内ページは“顔”であり“名刺”のようなもの。それが訪問者にとって魅力的に映らないのは、大きな機会損失です。

逆に言えば、「中の人感」を意識的に取り除くことができれば、特別な技術がなくてもページ全体の印象を一気に改善することができます。ホームページをリニューアルする際は、「読み手の気持ちになれるかどうか」という視点を、まず最初に見直してみてはいかがでしょうか。