縦長=LPじゃない?「ランディングページ」のよくある誤解と、本当に効果の出るページ設計とは

はじめに:「LP作ってください」の違和感

「LPを作ってください」——。ホームページ制作に関わっていると、こうした依頼を受けることがよくあります。

しかし、詳しくヒアリングしていくと、依頼者が求めているのは「ランディングページ(以下LP)」ではなく、ただの“縦長の1ページ構成のホームページ”だった、というケースが非常に多いのです。

もちろん、縦長のページが悪いわけではありません。しかし、LPと縦長ページは目的も構成も役割もまったく異なるものです。

この誤解は、成果を出したい事業者にとって、非常にもったいないこと。今回は、ランディングページにまつわる誤解を解きほぐし、本当に効果の出るページ作りとはどうあるべきかを、分かりやすく解説していきます。

1. そもそも「ランディングページ」って何?

「Landing Page(LP)」とは、直訳すると「着地ページ」。つまり、広告や検索結果、SNSリンクなどから訪問者が最初に“着地”するページのことです。

しかし、Webマーケティング業界では、単なる最初のページではなく、特定の目的(コンバージョン)に特化した1ページ完結型のセールスページを指すことが一般的です。

たとえば:

  • 資料請求させる
  • 商品購入を促す
  • 無料体験登録をしてもらう
  • イベント参加を申し込ませる

「行動を1つ」に絞り、それを達成させるためのページが、いわゆるLPです。

2. 「縦長のページ=LP」ではない理由

よくある誤解が、「LPって要するに縦に長いページのことですよね?」というもの。

確かにLPは縦長であることが多いです。しかし、縦長であればLPというわけではないのです。

ポイントは「ページの設計思想」にあります。

LPの目的:たったひとつのゴールに集中

  • 「申込み」「購入」など、ひとつのアクションに誘導することに全振りしている
  • メニューや他ページへのリンクを排除し、ユーザーの離脱を防ぐ
  • 構成が“ストーリー仕立て”になっており、感情を動かして説得する流れになっている

一方、縦長のホームページは:

  • 会社紹介、サービス案内、事例、ブログリンクなど、情報を多目的に発信
  • ナビゲーションあり、ページ遷移あり
  • 離脱率や成約率よりも、情報提供・ブランディングが目的

つまり、見た目の形状ではなく、「何を達成するためのページなのか」が最大の違いなのです。

3. ランディングページの構成要素とは?

では、成果を出すLPにはどんな要素があるのでしょうか?以下に典型的な構成を紹介します。

  1. ファーストビュー(最初に見える範囲)
  2. 共感セクション
  3. 解決策の提示
  4. 実績・信頼獲得
  5. 限定性や緊急性
  6. クロージング
  7. フッター(最低限の会社情報のみ)

このように、LPは単なる情報掲載ページではなく、一連の心理的ストーリーでユーザーを動かす「セールスの舞台装置」なのです。

4. 縦長ホームページは「なんでも見せる」設計

では、よくある縦長ページはどうでしょうか。

  • 会社概要
  • サービス案内
  • お客様の声
  • よくある質問
  • 料金表
  • お問い合わせ
  • SNSリンク

こういった項目を1ページに並べて「1枚で全部見れるから親切でしょ?」という構成が多いですが、これはLPとはまったく設計意図が異なります。

もちろん、悪いわけではありません。情報を一覧で届けるには有効ですが、「問い合わせが欲しい」「購入してほしい」などのコンバージョン目的には弱いという点は理解しておく必要があります。

5. よくある「なんちゃってLP」の問題点

「LPを作っても反応がない」という相談の多くは、“なんちゃってLP”になっていることが原因です。

  • 明確なターゲットが定まっていない
  • 文章がだらだらと長く、訴求ポイントが曖昧
  • CTAボタンが少ない・目立たない
  • 他ページへのリンクが多く、回遊して離脱される

表面的な見た目を真似るだけでは、コンバージョンにはつながりません。LPは戦略と構成が命です。

6. 広告との連動設計の重要性

LP単体で完結することはほぼありません。多くは広告やSNS投稿、検索キーワードなどからの流入が前提となっています。

  • LPは「前の文脈(広告のコピーや画像)」と連動している必要がある
  • 流入ユーザーの期待を裏切らない一貫性ある設計が必要

広告文とLPのギャップが大きいと、ユーザーは即離脱してしまいます。

7. スマホ最適化と読みやすさ

近年では流入の7~8割がスマートフォンというケースも珍しくありません。

  • ファーストビューは「一画面に収まる情報の密度」が重要
  • CTAボタンは適宜挿入し、スクロール中に何度も出現する設計に
  • テキストは短く、改行・余白・視覚要素(画像・アイコン)をうまく活用

8. LP運用と改善:作って終わりではない

LPは作って終わりではなく、改善していく設計が必要です。

  • A/BテストでキャッチコピーやCTA文言を比較
  • ヒートマップやクリック解析を使って改善ポイントを特定
  • 定期的に成果指標(CVR)をチェックし、改善サイクルを回す

一度の公開で成果が出るとは限りません。むしろ「改善ありき」で設計することが前提です。

9. 目的で選ぶべき「LP」と「縦長ページ」

どちらが良い悪いではなく、大切なのは「何を目的にしているか」。

目的 適したページ
商品を売りたい LP(セールス型)
資料請求を増やしたい LP(コンバージョン型)
会社の信頼を高めたい 通常のホームページ
総合的な情報提供がしたい 縦長の構成ページ

このように、目的と導線を一致させることが最も重要です。

10. 「LPを作りたい」と言う前に考えてほしいこと

「LPを作りたいんです」と思ったとき、ぜひ一度以下のことを自問してみてください。

  • なぜLPを作りたいのか?
  • 何を目的にするのか?
  • ユーザーにどんな行動をしてほしいのか?
  • 広告や集客導線はどう設計されているか?

これらが明確であれば、LPは非常に強力な武器になります。
しかし、単に「1ページでなんとなく全部見せよう」では、売上にも効果にもつながりません。

11. 成功事例と失敗事例:現場で何が起きているか

成功事例:ある治療院のLPでCVRが3倍に

ある整体院では、初めてLPを導入した際、単に院の特徴や料金表を羅列した「縦長ページ」でした。反応率はわずか0.8%。

そこで、ペルソナを明確化し、「40代女性の肩こり」に特化したLPに作り替えました。

  • 共感:『朝起きると首が痛い…そんな日が増えていませんか?』
  • 解決:『肩甲骨リリース×自律神経調整で改善』
  • CTA:『今なら初回3,980円』

これだけの変更で、反応率は3.2%に。問い合わせが月4件→15件以上に増加しました。

失敗事例:「とにかく全部入れてくれ」で逆効果に

BtoBのソフトウェア会社が「とにかく自社の強みを全部詰めて」と指示し制作したLPでは、結果が出ませんでした。

  • サービス説明が5種類
  • CTAが複数(デモ申込・資料請求・問い合わせ)
  • 画面内に動画、PDF、リンク、SNSボタンなど情報過多

ユーザーが迷い、最終的にCVRは0.3%。後に、目的を「デモ体験申込」のみに絞り、コンバージョンは1.8%に回復。

12. LPの費用感と予算の考え方

「LPって、いくらぐらいかかるの?」という声も多いです。価格は以下のように大きく分かれます。

項目 費用相場
テンプレート型LP 3万~10万円
カスタムLP 15万~50万円
マーケ設計+改善 50万~100万円以上

単なる“デザイン作業”ではなく、コピーライティング、ターゲット設計、導線設計、A/Bテスト前提での構築など、「売るための設計」に予算がかかると考えるべきです。

LPにお金をかける価値はあるのか? 答えはYes。例えば5万円の広告費で10件CVが取れるLPと、1件しか取れないLPでは、その差は歴然です。

13. SEOとLPの共存は可能?

「LPはSEOに弱い」と言われることがありますが、目的によります。

  • リスティング広告やSNS導線 → LPでOK
  • 自然検索からの流入 → 通常のSEO記事 or サイト内導線が必要

つまり、「SEOで集めてLPで落とす」など、分業で設計するのが最適。

また、最近では1ページLPでもh1〜h3タグを適切に使い、FAQを入れたりすることで、一定のSEO効果を発揮できるケースも増えています。

14. よくある質問(FAQ)

Q. LPは1ページじゃないといけませんか?
→ 原則1ページ完結が理想ですが、補足情報を別ページにする「ハイブリッド型」もありです。
Q. 動画を入れた方が効果ありますか?
→ 商材によりますが、「感情に訴える」「体験を伝える」目的であれば効果大。ただし自動再生・音声付きは逆効果になることも。
Q. テンプレートで作っても大丈夫ですか?
→ ターゲットと目的が明確であればOK。ただし、差別化やCVR改善にはカスタマイズが必要になる場合も。
Q. LPに会社概要って必要?
→ 信頼構築のためには最低限入れた方が安心されます。が、前面に出す必要はありません。

15. 最終まとめ:LPは「短期成果」の主力武器

  • LPは「今すぐ成果を出したい」時の特化ツール
  • 成功にはターゲット・構成・改善が不可欠
  • 単なる縦長ページではなく、“戦略と設計”で初めて本物になる

今後もWeb集客においてLPの重要性は高まっていくでしょう。

もし、あなたが「LPって結局何なのか」と迷っていたなら、この記事が整理の一助になれば幸いです。そして、次に「LPを作るべきかどうか」を判断する基準にもなればと思います。