誰向けでもないホームページの誕生メカニズム
〜なぜ伝わらないのか?その原因と改善方法〜
はじめに
「ホームページを作ったのに、まったく反応がない」。
そんな声を個人事業主やフリーランスの方々からよく耳にします。見栄えはそれなり、情報も載せた。それでも、「誰からも見られない」「問い合わせが来ない」。
原因を探っていくと、驚くほど多くのホームページが“誰向けでもない”状態に陥っていることがわかります。
この記事では、なぜ「誰向けでもないホームページ」が出来上がってしまうのかをひも解きながら、「反応が取れるホームページ」に仕上げるための考え方と改善アプローチを解説します。
なぜ「誰向けでもないホームページ」が出来上がるのか?
1. 目的が不明確
「とりあえずホームページが必要だと思ったから」。この動機から始まる制作は、ほぼ確実に“誰向けでもない”状態になります。
ホームページの目的とは、例えば以下のような「読者にしてほしい行動(=コンバージョン)」です:
- 問い合わせを増やしたい
- 商品を購入してほしい
- 信頼感を醸成したい
- 求人に応募してもらいたい
目的が曖昧なままでは、何を伝えるべきかも曖昧になり、「全部あるけど、響かない」サイトになります。
2. ターゲットが不明確
誰に向けて情報を発信するのか?が定まっていないと、言葉・構成・デザインがすべてブレます。
- 30代主婦向けの商品なのに、言葉がビジネス寄り
- 若者向けのサービスなのに、写真が中年男性
このような「ちぐはぐな印象」が、信頼を損ねてしまいます。
3. 構成と導線が自己満足
「会社概要→事業内容→代表挨拶→アクセス」のようなテンプレ構成。
「お知らせ」や「ブログ」が空欄のまま。
これらは“事業者が満足するため”の構成であり、訪問者のための内容とは言えません。
「誰向けでもないホームページ」の末路
- アクセスはあるのに直帰率が高い
- 離脱率が高く、滞在時間が短い
- お問い合わせ・購入といった反応が発生しない
※直帰率:最初のページだけを見て離脱するユーザーの割合。
結果として、「あるだけの名刺代わりサイト」になり、費用も時間もムダになってしまいます。
反応が取れるホームページを作るために
ここからが本題です。「問い合わせや注文が入る」ホームページにするために、必要な考え方と具体的なアプローチをご紹介します。
1. ペルソナ設計からすべては始まる
ペルソナとは「理想的な1人の顧客像」です。年齢・性別・職業・ライフスタイルなどを具体的に描きます。
例:整体院のホームページの場合
- ターゲット:40代の働く女性(デスクワーク中心)
- 悩み:肩こり、頭痛、ストレス
- 来院の動機:怖い先生は嫌。安心できる雰囲気を求めている
この場合、以下のような構成が効果的です:
- やさしい印象の女性スタッフ写真をトップに
- 「こんなお悩みありませんか?」の問いかけ
- 初回割引や施術のやさしさを説明
- 同年代の女性からの口コミ掲載
2. CTA(Call To Action)を明確に
CTAとは「読者にしてほしい行動を促すボタンや文章」のことです。
- お問い合わせはこちら
- 今すぐ予約する
- 資料請求はこちら
行動の促しがなければ、ユーザーは次に何をすればよいのかわからず、離脱してしまいます。
さらに強化するには:
- 「今だけ無料相談受付中」など、行動の理由を添える
- 「無理な勧誘は一切ありません」など、安心感を添える
- 色・形で目立たせる(UI設計)
3. UXライティングで信頼をつかむ
UX(ユーザー体験)ライティングとは、読者がサイト内で迷わず心地よく行動できるようにするライティング技術です。
悪い例:
「お問い合わせフォームへご入力いただきますと、折り返し担当よりご連絡いたします」
→ 機械的で冷たい印象。
良い例:
「ご相談内容をご入力ください。スタッフが1営業日以内にご返信します」
→ わかりやすく安心感があります。
4. スマホ表示を最優先で考える
2024年時点で、アクセスの約70%はスマホ経由です。
スマホで見たときに:
- 文字が小さい
- ボタンが押しづらい
- メニューが見つからない
このようなUXの悪さは、離脱につながります。
レスポンシブ対応だけでなく、スマホでの操作体験を意識した設計が重要です。
情報ではなく「納得」を設計する
多くの人が「情報を出せば信頼される」と考えがちですが、反応を得るために必要なのは“納得”です。
実績があっても選ばれない人がいれば、経験が浅くても選ばれる人がいます。その差は、どれだけ読者の気持ちを汲み取っているかです。
例:フリーランスのデザイナー向けサイト
- 「料金はいくら?」→ 明確に提示 or 相場を紹介
- 「依頼後の流れは?」→ 図解で丁寧に説明
- 「他社との違いは?」→ 比較表+こだわりを紹介
構成例:
- キャッチコピー(強いメッセージ)
- 共感セクション(こんなお悩みありませんか?)
- 解決策の提示
- 実績・事例
- お客様の声
- よくある質問(FAQ)
- CTA(行動を促す)
おわりに
ホームページ制作は「作って終わり」ではなく、育てていくものです。
アクセス解析ツールやヒートマップを使って:
- どのページが見られているか
- どこで離脱しているか
- ボタンは押されているか
これらを定期的にチェックし、改善を重ねることで、資産としてのホームページに育てていけます。
この記事が、ホームページ制作の整理や改善のヒントになれば幸いです。