悩み別に誘導!LP型ページ戦略

士業にとって、ホームページは「信頼性を伝える名刺代わり」であるだけでなく、「仕事を生み出す仕組み」でもあります。しかし、実際には多くのホームページがその機能を果たせていません。

その理由の一つに、「誰に・何を・どう伝えるか」があいまいなまま、情報を網羅するだけのホームページ構成になってしまっていることが挙げられます。特に士業の場合、業務内容は広く、多岐に渡るため、情報を一つのページに集約すると、かえって訪問者の悩みに寄り添えない構造になりがちです。

そこで注目したいのが「悩み別に誘導するLP型ページ戦略」です。この戦略を取り入れることで、アクセスの質が変わり、問い合わせや相談の件数も自然と増えていく可能性があります。この記事では、LP型ページとは何か、なぜ有効なのか、そして士業に特化した活用の具体的手法まで、初心者にもわかるように丁寧に解説していきます。

LP型ページとは何か

LPとは「ランディングページ(Landing Page)」の略称です。
本来はネット広告などをクリックしたユーザーが最初に着地するページという意味ですが、ここで紹介する「LP型ページ」はもう少し広い意味で用います。

LP型ページとは、特定の悩みや目的を持って訪れたユーザーに対し、そのテーマだけに特化した構成で情報を提供するページを指します。

たとえば、次のような例を見てみましょう。

  • 「相続手続きに困っている人」向けのページ
  • 「建設業許可を取りたい人」向けのページ
  • 「離婚調停を考えている人」向けのページ

これらの悩み別ページがそれぞれ独立したLPとして存在し、それぞれに分かりやすい導線があると、訪問者は「ここは自分のことをわかってくれている」と感じやすくなります。

なぜ士業にLP型ページが有効なのか

①「私の悩みに特化した情報がある」=安心感

例えば、遺言書の作成を考えている人が「遺言書作成専門ページ」に辿り着けば、自分の課題にマッチした情報が目の前にあり、「この事務所は詳しそうだ」と感じます。

情報が一般的すぎると、訪問者の脳内では「これは自分のケースに当てはまるのか?」という疑問が生まれ、不安が解消されません。LP型ページではこの疑問を最小限に抑えることができます。

② SEO(検索エンジン対策)でも有利

「相続 遺言 相談 ○○市」など、具体的な検索語で訪れるユーザーは、すでにニーズが顕在化している可能性が高いです。悩み特化型ページは、そのような検索意図にマッチしやすく、Googleにも評価されやすくなります。

「サービス案内」「業務内容」などの一覧ページでは、どれだけ情報を載せても、検索キーワードとの一致率は低くなりがちです。悩み別に最適化されたLPは、その弱点を補います。

③ 広告運用との相性も良い

ディスプレイ広告やリスティング広告(検索連動型広告)を活用する場合でも、「どこに誘導するか」はとても重要です。

悩み別のLPに直接リンクさせることで、広告とページの内容に整合性が生まれ、クリック率・滞在時間・コンバージョン率(問い合わせ率)すべてに好影響が出ます。

実際にどう設計する?士業向けLP構成のポイント

  1. 導入部分で「誰のためのページか」を明示
    「こんなお悩みありませんか?」という形式で、ユーザーの「頭の中の言葉」をそのまま表現すると、共感が生まれやすくなります。
  2. 解決策は専門用語を避けてやさしく
    「遺産分割協議書を作成し…」ではなく、「家族で遺産について話し合った内容を、書面にしておく必要があります」などの表現を使いましょう。
  3. サービスの流れを明確に
    「相談したらどうなるのか」「費用はどの段階で発生するのか」など、手順の見える化はとても重要です。
  4. 実績や事例があれば効果的に活用
    数字で示せるものや相談例を使うと、「自分の悩みに近いケースがある」と感じてもらえます。

悩み別LPのテーマ設定例(士業向け)

行政書士の場合

  • 建設業許可取得サポートページ
  • 在留資格・ビザ申請サポートページ
  • 会社設立手続き特化ページ

司法書士の場合

  • 不動産名義変更サポートページ
  • 成年後見制度の相談ページ
  • 会社登記手続きLP

税理士・会計士の場合

  • 決算・確定申告丸ごと代行ページ
  • 開業支援パック専用LP
  • 相続税シミュレーションと対策案内

社労士の場合

  • 労働問題(解雇・残業代請求など)ページ
  • 就業規則作成の必要性LP
  • 助成金申請サポート専用ページ

弁護士の場合

  • 離婚・慰謝料問題解決LP
  • 交通事故被害者救済ページ
  • 債務整理・借金問題ページ

LP型ページを増やすときの注意点

  • 各ページごとに「ペルソナ(想定する人物像)」を明確に設定する
  • 表現や事例は被らないように注意する
  • 「キーワードの分散」と「検索意図への一致」を意識する

CMS(例:WordPress)のカスタム投稿機能を活用して、効率的にLPを構築する方法もあります。

LPの目的は「情報提供」ではなく「行動促進」

士業のLPは「情報ページ」ではありますが、最終的な役割は「悩みを抱えたユーザーが、次の一歩を踏み出すきっかけをつくること」です。

つまり、

  • 電話してみよう
  • メールしてみよう
  • 相談会に行ってみよう

といった行動へと繋がらなければ、せっかくの訪問も成果に結びつきません。そのためには、訪問者の立場になって不安を解消し、背中をそっと押す構成が求められます。

まとめ

士業にとって、悩み別に誘導するLP型ページ戦略は、専門性の高さを活かしながらも、一般ユーザーの「不安」「分からなさ」に寄り添う有効な方法です。

ホームページは「見栄え」ではなく「導線」で成果が決まります。悩みごとに導線を整えたLPを整備することで、ただの名刺代わりのホームページから、「問い合わせにつながるホームページ」へと進化させていくことができるのです。

そして、そうしたLPの積み重ねは、検索からのアクセスを安定させる「資産」となり、将来に渡って効果を発揮し続けるでしょう。