説明ページにイラストを加えるだけで問合せが増える理由

士業(弁護士・司法書士・行政書士・税理士・社労士など)にとって、ホームページ上の「説明ページ」は、単なる情報提供の場にとどまらず、問い合わせや相談に至るまでの重要な“接点”です。

にもかかわらず、その説明ページに「文字しかない」というケースは少なくありません。

実は、たった一つ、イラストを加えるだけで問い合わせ数が大きく変わる――そんな事例は、各業界で多数報告されています。

なぜイラストだけで、そこまで変わるのでしょうか?

本記事では、心理的な要因、視覚的な効果、ユーザー行動の変化など、実際の事例やデータを交えながら、士業の方々にとっても極めて再現性の高い「イラスト導入による効果」について解説していきます。

なぜイラストが効果的なのか?5つの視点で読み解く

1. 情報の“処理コスト”を減らしてくれる

人間の脳は、視覚情報を処理する速度が圧倒的に速いと言われています。

例えば、1枚のイラストで説明できる内容を、文字にすると数百文字になることも少なくありません。イラストは「見るだけ」で内容の輪郭を瞬時に把握させてくれます。これは専門的な手続きの説明が多い士業にとって、極めて大きなメリットです。

たとえば、「遺産分割協議」の流れを文章で説明する場合、どうしても「相続人」「法定相続分」「協議書」などの専門用語が並びがちです。ですが、図解されたイラストなら、言葉にしにくい関係性や手続きの段階を、直感的に把握できます。

この「処理コストが少ない」という感覚が、ユーザーにとっての“理解のしやすさ”や“親近感”に直結します。

2. 「不安」の正体は“見えないこと”

問い合わせをするかどうか――これは、ほぼ「不安との戦い」です。

特に士業に相談する場合、ユーザーは「何を相談していいか分からない」「料金体系が曖昧」「専門用語が多くて理解できない」など、言語化しづらい不安を抱えています。

この“不安”の多くは、「見えない」ことから来ています。

つまり、イラストで「見える化」することで、不安が自然と減っていくのです。

たとえば、

  • 相続登記の手続きの流れを図解
  • 就業規則作成の必要性を、社内の人間関係図で表現
  • 顧問契約の範囲を、線引きしたイラストで可視化

このようなイラストがあるだけで、「あ、こういうことなのか」と一歩踏み込んで理解できたユーザーは、そのまま問い合わせへと移りやすくなります。

3. スマホ時代の“視認性”に強い

現代のホームページ閲覧の多くはスマートフォンから行われています。

スマホで長文を読むのは苦痛を伴いますが、イラストであればスクロール中にも自然と視線が止まり、理解が促進されます。

たとえば、ページの冒頭に1枚のイラストがあるだけで、「読み飛ばすページ」から「目に留まるページ」に変わるのです。

さらに、図解付きのページは、ユーザーが後から見返す“保存率”も高く、SNSやLINEなどで「人に教えたくなるコンテンツ」として拡散されやすいという傾向もあります。

4. 「誰のためのページか」が伝わる

イラストには、文字では表現しにくい「対象ユーザーの明確化」という機能もあります。

たとえば、以下のようなイラストを思い浮かべてください。

  • 相続のイラスト→高齢の夫婦とその子どもたち
  • 会社設立支援のイラスト→若い男女が一緒にビジネスプランを話している姿
  • 社労士の就業規則関連→社員と経営者が書類を前に相談している場面

このようなイラストがあると、ユーザーは「自分のためのサービスかもしれない」と、無意識に認識するのです。

これにより、「ページとの距離感」が縮まり、信頼形成の第一歩が踏み出せます。

5. “想像”させずに“理解”させる

士業のサービスは抽象的なものが多く、ユーザーにとっては「想像しにくい」ものが多数あります。

たとえば、「任意後見制度」や「法定相続情報一覧図」「労務監査」などは、一般の人が日常で接することがほとんどないため、具体的なイメージが湧きにくいのです。

ここにイラストを添えることで、「こういう状況か」「こういう流れなのか」と、頭の中で想像しながら読む必要がなくなり、“理解する”ことに集中できるようになります。

この“理解させる”力こそが、問い合わせへとつながる最短ルートです。

イラスト導入の事例(架空事例)

事例1:司法書士事務所の「相続ページ」に図解追加

ある司法書士事務所では、相続登記のページに「手続きの流れ図」と「必要書類一覧のアイコン付きイラスト」を追加したところ、ページ滞在時間が約30秒から1分40秒へと増加し、問い合わせ率は2.3倍になったといいます。

滞在時間が増えるということは、内容が“読まれている”証拠であり、結果として問い合わせの増加につながりました。

事例2:行政書士の外国人ビザ申請ページ → 手続きイラストでSNSシェア拡散

外国人向けのビザ申請ページに、申請の流れや注意点をマンガ風イラストでまとめた行政書士の例では、「難しそう」だった手続きが「ちょっと相談してみようかな」に変化。

結果的にページのSNSシェア数が急増し、月間アクセス数が数百から数千にまで伸びたとのことです。

イラストを導入する際の注意点

  • 情報を補完する役割に徹すること
    → イラストが主役ではなく、あくまで「理解を助ける脇役」として活用することが大切です。
  • ターゲットに合わせたトーンにすること
    → 士業のホームページでは、過度にポップすぎるイラストは逆効果になることも。落ち着きと信頼感を損なわないデザインが重要です。
  • イラストの統一感
    → 1ページだけイラストがあると“浮いた印象”になります。サイト全体のビジュアルコンセプトとの調和を意識しましょう。

まとめ:問い合わせが増える“見えない要素”を可視化する力

説明ページにイラストを加えることは、ただページを“きれいに”するためではありません。

  • 不安を取り除く
  • 理解を促す
  • 滞在時間を伸ばす
  • 記憶に残す
  • 問い合わせへの心理的ハードルを下げる

こうした“見えないけれど確実に存在するユーザー心理”に、視覚的に働きかけるのが、イラストの力なのです。

士業にとって、説明の正確性や論理性はもちろん重要ですが、「伝わるかどうか」「記憶に残るかどうか」も同じくらい大切です。

そしてその第一歩が、“1枚のイラスト”だったりするのです。