3万円のテンプレと30万円のデザインの違い、言えますか?

「ホームページを作りたいけど、できれば安く済ませたい」

そんな思いは、多くの中小企業経営者やフリーランスにとって、ごく自然な発想だと思います。実際、ネット上を探せば「3万円でホームページ制作します!」という広告はごろごろ見つかりますし、「無料テンプレートを使えば誰でも簡単に作れます」といった情報も氾濫しています。

しかし、それとは対照的に「フルオーダーで30万円〜」といった見積もりを提示する制作会社も少なくありません。なぜここまで価格差があるのでしょうか?

この記事では、ホームページ制作における「3万円テンプレート」と「30万円のオーダーメイドデザイン」の違いについて、わかりやすく丁寧に掘り下げていきます。

そもそも「テンプレート」とは?

まず、3万円で提供されることが多い「テンプレート」とは何かを説明しておきましょう。

テンプレートとは、あらかじめレイアウトやデザインが決まっているホームページのひな形のことです。いわば「型紙」のようなもので、そこに自社のロゴや写真、文章を流し込むことで完成します。

テンプレートのメリットは以下の通り:

  • 制作時間が短い
  • 低コストで導入可能
  • 自分で更新・編集しやすい(場合による)

しかしその反面、テンプレートには明確なデメリットもあります。

  • 競合他社とデザインがかぶる可能性が高い
  • 細かいカスタマイズには限界がある
  • SEO(検索エンジン最適化)や導線設計が甘い場合がある

「30万円のデザイン」は何が違うのか?

30万円を超えるようなホームページ制作では、以下のような工程が加わることが一般的です。

1. ヒアリングと企画設計

まず、クライアントのビジネスモデルやターゲット層、競合状況、目的などをじっくりヒアリングし、それに基づいて構成や導線を設計します。これを情報設計(IA: Information Architecture)と呼びます。

2. デザインのフルカスタム

テンプレートとは異なり、一からオリジナルのデザインを起こします。ロゴの使い方、配色、フォント、ビジュアル要素など、すべてが「そのビジネスのためだけに」設計されます。

3. UI/UXの最適化

UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

UI(User Interface):ユーザーが目にする部分(ボタン、メニューなど)

UX(User Experience):ユーザーがホームページを使った際の体験全体

UI/UXが最適化されたデザインは、離脱率(すぐにサイトから離れる人の割合)を下げ、問い合わせや商品購入といった「目的達成」に繋がりやすくなります。

4. SEO内部対策

SEO(Search Engine Optimization)とは、Googleなどの検索結果で上位に表示されやすくする施策です。

テンプレートサイトでもSEO対策を謳っているものはありますが、実際にはタグ構造の最適化やメタ情報の適切な設定、表示速度の改善など、細かい調整が必要です。これらはオーダーメイドでないと難しいことが多いです。

5. スマートフォン最適化(レスポンシブ対応)

今やスマホユーザーが主流です。30万円以上のサイト制作では、スマートフォンやタブレットなど、あらゆるデバイスに対応したデザインが前提となります。

テンプレートでも一応レスポンシブ(画面サイズに応じて見た目を変える)に対応しているものはありますが、細部までは調整できないことが多く、見づらさや操作しにくさが残るケースもあります。

実例比較:A社とB社の違い

ここで仮想の例を見てみましょう。

A社(テンプレート型/3万円)

  • デザイン:テンプレート使用
  • 写真:フリー素材を2〜3枚
  • ページ数:1ページ完結型
  • お問い合わせフォーム:簡易型
  • 納期:約5日

B社(オーダーメイド型/30万円)

  • デザイン:完全オリジナル
  • 写真:プロカメラマンによる撮影(※別料金)または提供素材を加工
  • ページ数:TOP+下層5ページ程度
  • お問い合わせフォーム:カスタマイズ可能
  • 納期:約1ヶ月

「価格差=価値差」とは限らないが、確実に“違い”はある

安いからダメ、高いから良い──そう単純な話ではありません。予算や目的に応じて適切な選択をすることが大切です。

たとえば、以下のような場合はテンプレートでも十分な効果が得られる可能性があります。

  • 名刺代わりにとりあえず会社情報を載せておきたい
  • イベントやキャンペーン用の短期的なページが欲しい

逆に、以下のような目的がある場合は、オーダーメイドが向いています。

  • 他社と差別化したい(ブランディング)
  • 商品・サービスの魅力を深く伝えたい
  • 検索エンジンからの流入を重視したい
  • 成約率(コンバージョン)を高めたい

「安さ」は入口だが、「機能」は出口

ホームページは、単なる”飾り”ではなく、見込み客との接点であり、24時間働く営業マンでもあります。

たった3万円で“営業マン”を雇ったと思ったら、まったく仕事をしない…そんな残念な話もよく耳にします。

逆に、30万円かけてしっかりと設計されたサイトが、毎月何件もの問い合わせを生み、数年に渡って費用対効果を発揮してくれることも珍しくありません。

まとめ:あなたにとって本当に必要なものは?

テンプレート型とオーダーメイド型、どちらが良いかは一概には言えません。重要なのは、「目的」と「予算」と「戦略」です。

コストを抑えることは悪いことではありません。でも、「安く済ませたつもりが、結局あとから高くついた」というケースもあることを忘れてはなりません。

もし今、あなたがホームページ制作を検討しているなら、「金額」だけでなく、「中身」や「成果」にも目を向けてみてください。

結果的に、賢い選択をすることが、あなたのビジネスの未来を左右することになるのです。