『お知らせ欄』が“営業感”を失わせる理由
はじめに
ホームページ制作を検討中の中小企業の経営者や、個人事業主、フリーランスの方々にとって、情報の発信方法はただの形式的な作業ではありません。特に「お知らせ欄」という存在が、無意識のうちにホームページ全体の印象を左右していることをご存じでしょうか?
「とりあえず設置してあるだけ」のお知らせ欄。その運用の仕方次第では、せっかくのホームページが、営業感を失い、顧客との接点を一気に弱めてしまうこともあるのです。この記事では、その背景と、見落とされがちな「お知らせ欄」の影響力について、実例を交えながら深掘りしていきます。
お知らせ欄とは何か?
まず最初に、「お知らせ欄」とは何を指しているのかを明確にしておきましょう。
多くの企業サイトや店舗サイトでは、トップページに「お知らせ」「新着情報」「インフォメーション」などの見出しで、イベント開催や休業日、キャンペーン、サービス開始・終了などを掲載する欄があります。これが一般的にいう「お知らせ欄」です。
企業にとっては公式情報の発信スペースであり、更新情報を外部へ届ける手段として設けられるものです。
営業感を失うとはどういうことか?
「営業感を失う」とは、ホームページ全体から商売気(=ビジネス的な積極性)が感じられなくなる状態を指します。
たとえば、お店の前を通ったときに、ショーウィンドウに色あせたポスターがそのまま貼ってあると、「ここ、ちゃんと営業してるのかな?」と不安になることがありますよね。これと同じ現象が、ホームページ上でも起こります。
その主な原因の一つが「お知らせ欄」の放置です。更新が止まっていたり、内容が定型文的すぎたりすると、ホームページに訪れた人が「この会社は今も活動してるのか?」と疑念を抱いてしまいます。
「お知らせ欄」が与える印象の影響
1. 放置された印象が信頼感を下げる
3年以上前の日付のまま更新されていない「お知らせ欄」は、それだけでマイナス評価に繋がります。
『定期的な更新がない=活動していない』と連想されやすい
このような印象を与えるだけで、信頼感や企業としての信用を失う可能性があります。
2. 形式的な内容がリアルさを消す
「夏季休業のお知らせ」「年末年始のご案内」など、業務連絡的なお知らせだけが続くと、情報にリアリティがなくなります。
お知らせ欄は企業やお店の“今”を伝えるものです。そこに業務的な連絡しかない場合、「生きている事業」の雰囲気を感じにくくなります。
3. 動きのない見た目が営業感を削ぐ
サイト訪問者にとって「動きがない」ということは、「エネルギーを感じない」ということでもあります。見た目は静かでも、内容でアクティブさを伝えることは可能です。しかし、更新が止まっていると、それは難しいのです。
お知らせ欄に代わる情報発信の形
1. ブログやコラム形式への切り替え
「お知らせ」ではなく「コラム」や「代表のひとこと」「現場レポート」といった柔らかい形式に切り替えるだけで、更新が自然になります。
ブログ的な記事であれば、更新が多少不定期でも、読み物として成立します。読む側も「情報が出ていない=営業していない」とは思いません。
2. SNSとの連携による最新情報の流通
X(旧Twitter)やInstagramなどを活用し、最新情報はそちらで発信。そのフィードをホームページに埋め込むことで「動き」は保てます。
SNSは更新の手間が比較的少ないため、頻度を保ちやすく、日常の様子や小さなニュースでも投稿しやすいのが利点です。
3. お客様の声や導入事例の更新
「お知らせ」ではなく「導入実績」や「お客様の声」を定期的に追加していくことで、情報の動きを見せることができます。
これらは実際のサービス提供の履歴でもあるため、営業活動の証明にもなりやすいです。
「更新されていないお知らせ欄」はなぜ放置されるのか?
1. 更新担当がいない・仕組みがない
中小企業や個人事業主の場合、広報担当やWeb担当が明確にいないケースが多く、誰が更新すべきかが曖昧になっていることが原因です。
2. 更新の重要性を軽視している
「何かあったときだけ更新すればいい」と考えてしまい、結果的に放置状態になることがあります。
3. 更新方法が煩雑・面倒
CMS(コンテンツマネジメントシステム)が使いづらかったり、アクセスの手順が多かったりすると、更新意欲は自然と削がれます。
解決のために意識したいポイント
- 「何を」「どの頻度で」「誰が」更新するのか、明文化しておく
- 更新が滞っても違和感のない表現にしておく(例:「最近の動き」など)
- お知らせ欄は必要最小限に留め、ブログや事例紹介へシフトする
まとめ:お知らせ欄を“更新義務”から“価値ある発信”へ
「お知らせ欄」は、情報発信の入り口でありながら、扱いを間違えるとホームページ全体の生命感を損なってしまう要因にもなり得ます。
もし「お知らせ欄」の更新が負担になっているのであれば、いっそ他の発信方法に切り替えることも一つの戦略です。「営業している」というリアルな空気を、どうホームページで伝えていくか。それは文章や写真、事例紹介、SNS連携など、さまざまな方法で実現可能です。
本質は“発信すること”ではなく、“伝わること”。読んだ人に「この会社は動いている」「活きている」と感じてもらうには、単なる「お知らせ」以上の何かが必要なのかもしれません。
今、あなたのホームページの「お知らせ欄」は、営業感を育てていますか? それとも、損なっていますか?